尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
余った"刺身"はたたくべし!ビールが旨い"海老トースト風"

余った"刺身"はたたくべし!ビールが旨い"海老トースト風"

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。お題は前回に続き、少しだけ残ってしまった“刺身”。夏にぴったりのエスニックなつまみに変身します!

刺身をたたいているうちに……!

前回に続いて、今回も余った“刺身”のおいしい食べきり方。実は事前に尾身さんから、「もう一品は“なめろう”、もしくは千葉の郷土料理の“さんが焼き”にしようかな」と聞いていたのである。ところが、登場したのはまったく似ても似つかない、エスニックな料理。どういうことですか、尾身さん……!?

「なめろうもさんが焼きも、すごくおいしいの。でも、余った刺身をたたいていたら、このままパンに塗って揚げたらいいじゃない!って、思いついちゃって」

そう、尾身さんがつくってくれたのは、アジア各国でおなじみの“海老トースト”。パンに海老のすり身を塗って揚げた料理である。タイでは“ カノムパンナークン”、韓国では“メンボシャ”などと呼ばれ、日本でも長崎の卓袱料理の一品“ハトシ”がよく知られている。

「余った刺身に海老があればベストですが、なくても大丈夫。イカやホタテなど、たたいて粘りが出る魚が半分くらい入ると、プリッとおいしい“海老トースト風”になりますよ!」

尾身さん
刺身とパンで、まさかの料理に大変身!

パンの上に海の幸が大集合!

本当に“海老トースト”の味になるの?と、半信半疑でスイートチリソースにつけて味わってみると……カリッ、プリッ!たまらない!これはまさに、お店で食べる味。魚介の旨味が凝縮して、これはむしろ海老以上のおいしさになってる!

「そうでしょ~。これが余ったお刺身で気軽につくれたら、ちょっと幸せじゃない?さあさあ、ビールをどうぞ」

もう、わかっていらっしゃる!暑さがつのる今日このごろ、ビールが合い過ぎるのだ。

「たたいたお刺身にパクチーを入れましたが、もし、お刺身に添えた大葉が余っていれば、それを使っちゃってもいいです。セロリの葉、ミントでも合いますよ。“フードロサない”夏のおつまみ、ぜひつくってみてくださいね!」

“刺身で海老トースト風”のつくり方

刺身で海老トースト風

材料材料 (つくりやすい分量)

食パン1枚(8枚切り)
残った刺身100g(イカ、ホタテ、サーモンなど)
★ 具材と調味料
・ 玉ねぎ大さじ1(みじん切り)
・ 塩ふたつまみ
・ 黒胡椒少々
・ パクチー大1/2(みじん切り。大葉、ミント、セロリの葉などでも代用可)
揚げ油適量
スイートチリソース適量

1刺身をたたく

刺身は細かくきざみ、粘りが出るまで包丁でたたいてすり身状にする。

刺身をたたく

2すり身に具材と調味料を混ぜる

刺身のすり身に、具材と調味料を混ぜる。

すり身に具材と調味料を混ぜる

3食パンにすり身を塗る

食パンに刺身のすり身を塗る。

食パンにすり身を塗る

4油で揚げる

フライパンに揚げ油を1cmほどの高さまで入れ180℃に熱して、すり身を塗った面を下にして揚げる。こんがり色づいたら返して、パンの面もこんがり色づくまで揚げる。取り出して油をきる。

油で揚げる

5カットする

4等分に切って器に盛り、スイートチリソースを添える。

完成

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。