尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
つくり過ぎた"ポテサラ"は、熊本名物の"ちくわサラダ"に!

つくり過ぎた"ポテサラ"は、熊本名物の"ちくわサラダ"に!

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、つくり過ぎてしまうことが多い“ポテトサラダ”。ご心配なく、絶品ご当地レシピでおいしく解決しちゃいます!

ポテトサラダはなぜかたっぷり出来上がる

ホクホクのじゃがいもをざっくりつぶして、クリーミーに仕上げたポテトサラダ。具材のバリエーションや調味料の割合など、それぞれの家庭に定番の味があるものだが、わざわざ分量をきっちりはかったりせず、適当につくることが多いはず。尾身さんも、いつもたっぷりつくるようで……。

「大量につくる気はないのに、なぜかたっぷり出来ちゃう。それがポテトサラダです。私は大家族で育ったので、いっぱいつくるのが当たり前になっているんですよね」

ちなみに、尾身さん流のポテトサラダの具材は、玉ねぎ、きゅうり、ゆで卵、ハムと王道を行くが、食べると何かが違う。その絶妙な味の秘密は、アンチョビとケッパーなのだそう。

「アンチョビは細かく叩いて加えると、ポテサラに旨味とコクが出ます。さらにケッパーを加えると、グッと味がしまるんですよ」

また、じゃがいもは皮つきのままゆでて、皮をむいてつぶすと旨味を逃さずにすむ。じゃがいもが熱いうちに酢をなじませるのも、おいしくつくるコツだという。

ポテトサラダ
尾身さんのポテトサラダ。アンチョビとケッパーが隠し味!

さて、そんなふうにしてたっぷりつくったポテサラ。いよいよ同じ味に飽きてきたなと思ったら、“フードロサない”レシピの出番である。ぜひ“ちくわ”のご用意を!

尾身さん
このちくわがあれば、ポテサラが新たな味に蘇ります!

熊本の“ちくわサラダ”はサラダじゃない

尾身さんがつくってくれたのは、知る人ぞ知るご当地料理の“ちくわサラダ”。“サラダ”といっても、その正体はサラダではない。ちくわの中にポテサラを詰め込んで揚げた“天ぷら”で、熊本県民のソウルフードなのである。尾身さんも、この発想には驚いたと話す。

「もともと熊本のお総菜屋さんが考えた料理なんですって。お総菜屋さんだから、毎日たっぷりポテトサラダを仕込むけれど、必ず残っちゃう。それがもったいないので、ちくわに詰めて天ぷらにしたら、大ヒットしたのだそう。まさに“フードロサない”発想から生まれた味なんですよね」

カラッと揚がったちくわの中には、ほんのりあったかいクリーミーなポテサラがぎっしり。よく知っているちくわとポテサラなのに、揚げると新しいおいしさが生まれ、不思議とクセになるのだ。尾身さんは、このちくわサラダに練りがらしをちょこっとつけて食べるのがお気に入り。「味が引き締まるんですよね。NOからし、NOちくわです!」と、激推し!

食べた人にしかわからないこの味。わざわざポテサラを残してでもつくってみてほしい!

“ちくわサラダ”のつくり方

ちくわサラダ

材料材料 (2~3人分)

残ったポテトサラダ適量
ちくわ3本
天ぷら粉適量
サラダ油適量
練りからし適量

1ちくわにポテサラを詰める

ちくわは包丁で縦に切り目を入れ、ポテサラを隙間なくぎっしり詰める。

ちくわを開く
ちくわにポテサラを詰める

2天ぷら粉をまぶす

ポテサラが詰まったちくわに茶こしで天ぷら粉をふり、まんべんなくまぶす。

天ぷら粉をまぶす

3衣をつけて揚げる

袋の表示通りに天ぷら粉を水で溶いて衣をつくり、ちくわをくぐらせて、200℃に熱した揚げ油で揚げる。衣がかたくなったら取り出し、斜め半分に切って器に盛る。練りからしをつけて食べる。

衣をつける
揚げる

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。