料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回はいろいろな“チーズ”が残ったらぜひつくりたい、本格リゾットのレシピです!
前回は、家飲みやホームパーティーで余った“チーズ”を使って手軽につくれる“れんこんと長ねぎのチーズ焼き”を教えてもらった。が、今回指南をお願いしたのはもうちょっと難易度の高いレシピ。せっかくおいしいチーズが残ったのなら、ぜひ“チーズリゾット”に挑戦してみたいと思っていたのである。しかも、ちゃんと生米を炒めて、本格的なつくり方を教わりたい!すると、尾身さんがこんなアドバイスをくれた。
「本格的なリゾットが難しいと思われている理由は、米の火の通し方ですよね。重要なコツはたったひとつ、タイマーをかけてカウントアップすること!米を炒めてブロードを注いだら、すぐにセットしてください。16~17分たったら、ちょうどアルデンテの状態に火が通ります」
なるほど!加熱時間の目安があれば、つくりやすさが増すというもの。タイマーを持っていなくても、スマートフォンのアプリを活用すれば問題なし。さあ、準備は整った!
今回教わった“カリフラワーとチーズのリゾット”は、カリフラワーが入るのもおいしさのポイントだ。尾身さんならではのアレンジには、こんな工夫があった。
「“チーズリゾット”は、濃くて重い仕上がりになりがち。でも、カリフラワーを加えると軽やかでやさしい味になるんですよ。途中で香りづけにタイムを加えるのも、チーズの風味をいかしながら、軽やかさを出したいからなんです」
実際に味わってみると、チーズの風味が濃厚なのに食べ心地は確かに軽やか。ほろっとくずれるくらいまでやわらかく煮込まれたカリフラワーと米の食感のコントラストも楽しい。トッピングにあしらった甘酸っぱいりんごのソテーも、絶妙な相性だ。
「いろいろなチーズが入るからこそおいしくつくれるので、残りものがあるときがチャンス!」と尾身さん。本格的な“チーズリゾット”のレシピ、覚えておいて損はなし!
米 | 100g(洗わない、無洗米でも可) |
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残ったチーズ | 30g(カマンベール、ゴルゴンゾーラ、パルミジャーノ、ミモレット、ゴーダなど) |
カリフラワー | 150g(小房に分ける) |
玉ねぎ | 30g(みじん切り) |
タイム | 1枝 |
EXバージンオリーブオイル | 大さじ1 |
白ワイン | 大さじ1/2 |
塩 | ひとつまみ |
白胡椒 | 少々 |
★ ブロード | |
・ 熱湯 | 600ml |
・ 顆粒コンソメ | 小さじ1 |
★ トッピング | |
・ カリフラワー | 50g(7~8mmスライス) |
・ りんご | 小1/4個(皮つきで7~8mm角に切る) |
・ バター | 小さじ2 |
・ 砂糖 | ひとつまみ |
フライパンにオリーブオイルをひいて弱めの中火にかけ、炒める。
玉ねぎがしんなりしたら、米を加えて炒める。透明感が出てきたら、白ワインを加えてアルコール分をとばし、カリフラワーを加えてさらに炒める。
熱湯に顆粒コンソメを入れたブロードを隣のコンロでごく弱火にかけておき、熱々をお玉1杯分、フライパンに加える。ここでタイマー(カウントアップ)をかけて、加熱時間をチェックしつつ、混ぜながら米にブロードを吸わせていく。
ブロードが少なくなったら、再びお玉1杯分をフライパンに足して、混ぜながら米に吸わせる。これを16~17分、ブロードがなくなるまで繰り返す(ブロードがなくなったらお湯を足す)。途中でタイムを加えて、カリフラワーがやわらかくなったらヘラでつぶす。
ブロードを吸わせている間に、トッピングをつくる。フライパンにバター小さじ1を入れて中火にかけ、カリフラワーをソテーする。焼き色がついたら取り出し、再びバター小さじ1を入れて中火にかけ、りんごをソテーする。しんなりしたら砂糖をふってからめ、取り出しておく。
タイマーが15分ほど経過したらチーズを加えて溶かし、塩、白胡椒で味を調える。16~17分で、米に火が通ったら出来上がり。器に盛り、ソテーしたカリフラワーとりんごをトッピングする。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之