平野由希子さんのワインが進むサルシッチャレシピ
シンプルなのに驚くほど風味豊かな"基本のサルシッチャ"

シンプルなのに驚くほど風味豊かな"基本のサルシッチャ"

腸に詰めないシンプル・サルシッチャは、肉を練らず、粘りも出さないのがコツ。塩は少し多めのほうが断然おいしく出来上がります。料理研究家の平野由希子さんに家でも簡単にできるサルシッチャレシピを教えてもらいました。

ワインにもパンにも合う、おいしい即戦力!

ワインを飲みながら、ささっと魔法のようにおいしいつまみをつくってしまう料理家・平野由希子さんのサルシッチャは、“腸に詰めないサルシッチャ”。豚挽き肉に、塩、スパイス、フレッシュハーブ、にんにくのすりおろしを混ぜて、丸めて、こんがり焼いて、あっという間に出来上がり。それでいて肉々しい食感と味わいはまさしくイタリアのサルシッチャそのものである。

「腸詰めにしていないものを“サルシッチャ”と呼ぶのは罪悪感がありますから、せめて形はそれらしく(笑)。粉や卵などのつなぎも不要。つなぎを加えず練らないからこそ、歯ごたえがあるサルシッチャになります」

挽き肉は赤身だけでなく、ほどよく脂が混ざっているものがおすすめ。粗挽きの肉を使えば、より肉感が増す。また、好みのスパイスやフレッシュハーブを加えれば、さらに味のバリエーションが広がるという。つくる際のポイントは3つ。

一、挽き肉は使う直前まで冷蔵庫に入れ、冷たい状態で調味すること。
二、肉とスパイスが混ざればいいので、練って肉の繊維をつぶさないこと。
三、焼く際には油をひかず、表面に焼き色がついたら火を止めて1分ほどおき、余熱で中まで火を通すこと。

「挽き肉料理は焦げやすいため、蓋をしてしまいがちですが、それでは肉汁が出てしまいます。表面が焼けたら、余熱を利用して中まで火を入れてください。出てきた脂で、じゃがいもを炒めてもおいしいですよ」ほかにもサルシッチャを使ったパスタや煮込み、ズッキーニ詰めなどイタリア料理の王道レシピも披露。ワインとパンと手づくりのサルシッチャがあれば、今夜も幸せ!

“基本のサルシッチャ”のつくり方

肉から脂が出てくるので、油は必要なし。こんなに簡単なのに、味わいは本格的で風味豊か。セージの香りが心地よい。粗挽きを使えばさらに肉々しさがアップする。

材料材料 (2人分)

豚挽き肉250g
3g
にんにく少々(すりおろし)
セージ大さじ1(粗みじん切り)
ナツメグ少々
白胡椒少々
粗挽き黒胡椒少々

1挽き肉とスパイス類を混ぜる

挽き肉は、必ず冷蔵庫から出してすぐの冷たい状態のものを使うこと。ボウルに挽き肉、塩、にんにく、セージ、ナツメグ、白胡椒、黒胡椒を加えて軽く混ぜる。

挽き肉とスパイス類を混ぜる
イタリアではフェンネル・シードを使うのがベーシック。好き嫌いがあるので、ここでは加えずにつくったが、お好みで入れても。

2なじませる

肉の食感を残すため、粘りが出るまで混ぜずに、スパイスやハーブが混ざるくらいに留める。肉の繊維をつぶさないこと。余裕があれば、ここまでつくって一晩おくと味がよくなじむ。

なじませる

3成形する

6等分し、空気を抜きながら手のひらでソーセージの形に成形する。

成形する

4休ませる

ソーセージ状にしたら、ラップで覆って冷蔵庫で休ませる。

休ませる

5焼く

フライパンに油をひかずに④を入れて中弱火にかけ、転がしながら4〜5分焼く。肉汁が出るので蓋はしないこと。

焼く

6仕上げ

全体にこんがりと焼き色がつくまで焼く。火を止めて1分おき、余熱で火を通す。

仕上げ
完成

教える人

平野由希子

平野由希子 料理研究家

フレンチをベースに、ワインなどのペアリングとともに多岐にわたるレシピを提案。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。『ソムリエ料理家のワインを飲む日のレシピ帖』(KADOKAWA)など著書多数。

※この記事の内容は、『技あり!dancyu豚肉料理』に掲載したものです。

技あり!dancyu 豚肉料理
技あり!dancyu 豚肉料理
A4変型 判( 112 頁)
2021年02月17日発売 / 880円(税込)

文:瀬川慧 撮影:公文美和

瀬川 慧

瀬川 慧 (ライター)

得意分野は料理、ワイン、食文化、旅、歴史など。単行本の企画、編集、執筆に『日本料理 銀座小十』(世界文化社)、『野﨑洋光の野菜料理帳』『里山に生きる「土樂」の食と暮らし』『懐石小室に教わる 一生ものの和のおかず』(家の光協会)、『和食神髄 小室光博』、『「すし」神髄 杉田孝明』(プレジデント社)などがある。