尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
具材たっぷり"フリッタータ"で"肉じゃが"がイタリアの味に!

具材たっぷり"フリッタータ"で"肉じゃが"がイタリアの味に!

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、たっぷりつくって残りがちな“肉じゃが”。和のおかずが、まったく違う国の料理に……!?

“肉じゃが”をもっとおいしく食べきりたい!

どこの家庭にも、それぞれの味がある“肉じゃが”。豚肉か牛肉か、はたまた糸こんにゃくは入れるのか入れないのか。そんな違いを談義するのも盛り上がる。ちなみに尾身家の肉じゃがに入るのは、豚肉の切り落とし。じゃがいも、人参、玉ねぎという基本の3種に加えて、彩りのさやいんげん、意外な野菜も入っていた!

「肉じゃがに“しいたけ”って、珍しいですか?母が入れてつくっていたんです。我が家の肉じゃがには糸こんにゃくも入れますが、ちぎった板こんにゃくになることもあります」

肉じゃが
尾身家の肉じゃが。手前に見えている茶色い具材はなんと、しいたけ!

さて、そんな肉じゃがは、鍋にたっぷりつくるからこそおいしいのだが、冷蔵庫にちょっとだけ残ってしまうことが多いおかずでもある。そのまま温めて食べるだけじゃない、さらにおいしく食べきる方法が知りたい!というわけで、尾身さんが取り出したのは、卵と鉄スキレット。今回のアフターレシピは、日本からイタリアへひとっとびします!

尾身さん
ジャーン!残った肉じゃがは、このスキレットと卵におまかせあれ!

これぞ、イタリアの“フードロサない”知恵!

尾身さんがつくってくれたのは、具材がたっぷり入るイタリアのオムレツ”フリッタータ”。現地の家庭では、野菜や肉のほか、ときには余ったパスタを入れて焼くことも。まさに“フードロサない”ための知恵が詰まった料理なのだ。

とはいえ、日本の肉じゃがは薄茶色い醤油味。これが本当にフリッタータになるの?と半信半疑でいたところ、熱々のスキレットの中で焼かれた姿はまさにイタリア。食べてびっくり、ホクホクの肉じゃがはチーズが香る卵に包み込まれて、ワインにぴったりのおつまみになっていた!

「肉じゃがはもともとやさしい味なんですが、ちょっと甘いでしょ?だから、黒オリーブの風味と塩味、ミニトマトの酸味をアクセントにして味を引き締めることで、また違うおいしさになるんです。それから、にんにくの香りを移したオリーブオイルで、先に肉じゃがを炒めておくのもポイント。このひと手間で、味がまとまります」

オープンオムレツなので、途中で返さなくていいのも気楽。スキレットがなければ、フライパンでもOK!奥深くに潜む醤油の風味もチーズによく合い、あとをひくおいしさなのだ。

“肉じゃがフリッタータ”のつくり方

フリッタータ

材料材料 (直径18cmのスキレット1台分)

残った肉じゃが200g(2cm角程度に切る)
残ったさやいんげん5、6本(500Wの電子レンジで1分ほど加熱して1cm幅に切る)
3個
ブラックオリーブ5、6粒(種抜き。半分に切る)
ミニトマト3個(半分に切る)
にんにく大さじ1/2(粗みじん切り)
粉チーズ大さじ3
ひとつまみ
黒胡椒適量
EXバージンオリーブオイル大さじ2
イタリアンパセリ適量(みじん切り)

1卵液をつくる

ボウルに卵を割り入れて溶き、粉チーズ、塩、黒胡椒を加えてよく混ぜる。

卵液をつくる

2肉じゃがとさやいんげんを炒める

スキレットにオリーブオイル大さじ1、にんにくを入れて中火にかけ、香りが出たら肉じゃがとさやいんげんを入れて炒める。

肉じゃがとさやいんげんを炒める

3卵液に具材を混ぜる

卵液に炒めた具材を入れて混ぜる。

卵液に具材を混ぜる

4スキレットで半熟にする

スキレットに残りのオリーブオイル大さじ1を足して中火にかけ、具材を混ぜた卵液を流し入れる。大きくゆっくりかき混ぜて、半熟にする。

卵液に具材を混ぜる

5蒸し焼きにする

卵液がかたまってきたらミニトマトとオリーブを上に散らし、アルミホイルをかぶせて弱火で7~8分、蒸し焼きにする。仕上げにイタリアンパセリをふり、スキレットのまま卓上へ。スプーンですくって取り分ける。

蒸し焼きにする

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。