自他ともに認めるラーメンマニアかつ、レコード番長の異名を持つ人気DJ須永辰緒さんが、ラーメンレシピとともに、そこに込めたテーマや思いをもとに組んだ音楽のプレイリストをご紹介する連載「須永辰緒のMUSIC&RAMEN」。第六回はシンプルな塩らぁ麺に、特製ジュレを加えたものをご用意。白ワインと相性が良い新しい味わいです。そんな一杯に添えるプレイリストはワイン片手に飲みながら聞きたい、レコードでもフィジカル・リリースされているものを選曲しています。
最近はイノベーションも進化していて『ラーメン居酒屋』なる形態もあります。暴論は承知ですがあれはラーメンマニアの僕からするとちょっといただけない。居酒屋メインで〆にラーメンを、というコンセプトのようですが、僕の経験上バランスでいえば酒>肴>ラーメンのプライオリティで、肝心のラーメンは業務用スープで対応しているケースがほとんど。
それなら日高屋や後楽苑飲みの方が個人的には潔いと感じます。
あくまでメインとしてラーメンが鎮座するもお酒の種類は多い、そして長居を許してくれる。
そんなラーメン屋さんが理想ですが、ラーメンの原価は40%を超える店も少なくない昨今です。弛まぬ企業努力で利益を上げる場合、お客さんの回転率は大事なことです。一日に数百杯売り上げるには回転率は必要ですよね。
ラーメンをこよなく愛し造詣も深く、楽しむための活動を積極的に行う愛好家を通称「ラオタ」と呼びますが彼ら用語で「ロッド」という言葉があります。お客さんにラーメンを出す順番の意味ですが例えばカウンター席が6席だとしてスタッフが一度に作るラーメンが6杯と想定します。その場合のロッドが1だとすれば7人目のお客さんは2ロッド目になります。1ロッド目で誰が早く抜け出すか(次の2ロッド目の7人目に席を譲るか)で優越感を得ることがあります。一見意味が無さそうで自己満足のように見えますが回転率の高さにより貢献できるとの気遣いもあるのかも。実際お店サイドも助かるかも知れませんね。今日もロッドを巡る駆け引きは目黒辺りで熱い。
閑話休題。本格的なラーメン店にもビールはあります。たまに拘りのカップ酒や日本酒を置いてくれるお店もありますが残念ながらワインまでは手が回っていないのが現状です。無いなら作ってしまえというのが今回作るラーメンのコンセプトです。今回は白ワインに合わせる想定ですが、赤ワインにも合うラーメンも今後研究したいと思います。イタリア料理のスープパスタまでは寄せられませんでしたが同じ麺類。何となくイメージ通りに仕上がったと思います。ジュレ状にして乗せる鶏皮のポタージュは鶏油代わりにもなるし、後味も意外と爽やかですよ。テクスチャを楽しめる茹でた生キクラゲはエクストラ・バージン・オリーブオイルを纏っています。
最近音楽を鳴らせる場所はクラブやライブハウス以外ではMUSIC BARが人気です。マッキントッシュのアンプでアルテック(スピーカー)を鳴らすなんていうハイエンドオーディオを設置しているジャズ喫茶顔負けのベニューも増えています。頼もしい限りですがやはりそこではアナログレコードを聴きたい。サブスクで選曲していますが、レコードでもフィジカル・リリースされている曲から選んでみました。そんなお店で白ワインを片手にこのラーメンを提供したいな。因みに我が家は輸入食品セレクトショップの雄<KALDI>のベストセラー・ワインの「RED WOOD」(コスパ抜群)を箱買いしています。
※プレイリストの再生にはSpotifyのアカウントが必要です。
中華麺 | 140g |
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★ スープ | (分量外) |
・ 水 | 8L |
・ 丸鶏 | 一羽(2キロほど) |
・ にんにく | 2片 |
・ 生姜 | 50g |
・ ネギの青い部分 | 2本 |
★ 鶏皮ポタージュ | |
・ 酒 | 300cc |
・ 鶏皮 | 100g |
・ 大根 | 100g |
・ にんにく | 3カケ |
・ 塩 | 少量 |
六助の塩 小さじ1 | |
★ トッピング | |
・ 生キクラゲ | |
・ クレソン | 適量 |
・ 穂先メンマ | 適量 |
・ チャーシュー | 適量 |
スープの材料を寸胴に入れ、極弱火で6時間ほど掛けて水分が半分量になるくらいまで煮詰める。
材料をすべて鍋に入れ中火にかけ、大根が煮崩れる程度まで火を通す。
②を冷まし、ジェル状になるまでミキサーで撹拌させる。完成したポタージュを再び弱火にかけて温めておく。
麺を表示通りの時間でゆでる。
丼に塩と①のスープを400cc入れる。
④の麺を⑤にいれ③のポタージュを加える。残りのトッピングを載せれば完成。
文:須永辰緒 写真:竹之内祐幸