料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回は“すき焼き”の鍋に入らなかった白菜や春菊をしっかり食べきります!
前回は“すき焼き”の鍋に残った、煮込まれてクタクタになった具材をおいしく食べきる“石焼風すき焼きビビンパ”を尾身さんに教わった。ところが冷蔵庫を空ければまだ、鍋に入れなかったカット済みの白菜や春菊も余っていたりする。
「切ってしまった野菜は切り口が変色する前に、翌日にはすべて食べきってしまいたいですよね。そんなときは、“石焼ビビンパ”に続いて、みなさんもよく知っている、あの韓国料理をつくるのがおすすめなんです」と、尾身さん。
たっぷり余ったの白菜と春菊で尾身さんがつくるのは“チヂミ”!野菜に加えて、煮込んだ牛肉も少し加えると、味のアクセントに。
お好み焼きのように混ぜて焼くだけなので、手軽につくれるのがうれしいチヂミ。実は生地と野菜の量のバランスや味つけが味の要であり、尾身さんの工夫が光る。
「白菜のシャキシャキとしたおいしさや春菊の香りを楽しみたいので、生地の量は野菜がつながるくらいの少なめがいいんです。まとまらずに焼きにくそうだなと感じたら、薄力粉と片栗粉の量を少しずつ増やしてみてください。それから、すき焼きの煮汁を加えることも大切!これがだしになって、生地の味がおいしくなります」
また、しいたけが余っていたらスライスして加えてもいいし、牛肉の量も加減してかまわないとのこと。なんといっても、余った野菜や牛肉を食べきることが目的なので、臨機応変にアレンジOK!これからは、「すき焼きのあとは韓国料理」が合言葉になりそうだ。
残ったすき焼きの牛肉 | 30g(煮込んだものを裂く) |
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残ったすき焼きの白菜 | 150g(5mm幅、5cm長さの短冊切り) |
残ったすき焼きの春菊 | 20g(葉は3~4cm長さ、茎は斜め薄切り) |
桜海老 | 7~8g(乾燥) |
胡麻油 | 大さじ2 |
★ チヂミ生地 | |
・ 溶き卵 | 1個分 |
・ 薄力粉 | 50g |
・ 片栗粉 | 30g |
・ 残ったすき焼きの煮汁 | 大さじ3 |
・ 塩 | 少々 |
★ タレ(※) | |
・ 醤油 | 大さじ1/2 |
・ 酢 | 大さじ1/2 |
・ 胡麻油 | 小さじ1 |
※基本のタレにコチュジャン大さじ1/2、砂糖小さじ1/2を加えればコチュジャンダレになる。
ボウルにチヂミ生地の材料を入れ、泡立て器で粉気がなくなるまで混ぜ合わせる。
チヂミ生地に残ったすき焼きの牛肉、白菜、春菊、桜海老を加えて混ぜ合わせる。
フライパンに胡麻油大さじ1をひいて中火にかけ、具材を混ぜたチヂミ生地を広げて焼く。
こんがり色づいてパリッと焼けたら返して、残りの胡麻油大さじ1を鍋肌からまわし入れる。フライ返しで生地を鍋肌に押しつけるようにして、反対側の面も色づくまで焼く。
焼けたら取り出し、食べやすい大きさに切り分ける。タレの材料を混ぜ合わせて添える。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之