尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
"おせち"だってロサない!"春巻き"を揚げて、新年の運気もアゲる!

"おせち"だってロサない!"春巻き"を揚げて、新年の運気もアゲる!

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回は、ちょっとだけ残ってしまったお正月の“おせち”のアフターレシピです!

お正月は“春巻きの皮”もスタンバイ!

どうしたって、やっぱり余る、残る。毎年、お正月が近づくと、そんな“おせちの宿命”に思いを馳せながら、「何をどれくらいつくろうかな……」と頭を悩ませる人も多いのではないだろうか。買ってくるもの、家でつくるもの。いろいろ組み合わせながら新年の食卓を整えるのは楽しみだが、三が日の終わりには、ハンパに余ったものたちに「なんとか食べきらなければ!」と、半ば義務感のような思いで向き合うことになるのが、毎年の常なのである。

おせち
三が日を過ぎ、少しずつ残ったおせちが小鉢に……。

そんな話をそっと尾身さんに話してみると、「どうしてもおせちって、余っちゃうのよね。でも、“アレ”があれば大丈夫」と、おもむろに冷蔵庫から取り出したのは“春巻きの皮”!

尾身さん
お正月の買い物リストに、春巻きの皮を加えて!

確かに、おせちはしっかり味つけしてあるので、春巻きの具材になりそうだ。ところが、「ただ巻いて揚げるだけじゃ、また同じ味だからつまらないでしょ。でも、違う食材を組み合わせることで、違うおいしさが生まれるんです。しかもお酒がすすむおつまみならまかせて」と、尾身さん。さすが、そこはハズさない!

これは呑める!楽しい“おせち春巻き”

数あるおせちのなかでも、残りがちなおせちといえば、たっぷりつくる“お煮しめ”と“栗きんとん”だろう。

まずは、“お煮しめ”から。組み合わせるのは、軽く塩、胡椒をからめた長ねぎ。「お煮しめは少し甘めなので、塩味で引き締めるのがポイントです」と尾身さん。しかも、お煮しめはコロコロの賽の目切りにして、春巻きの皮で包んで揚げる。食べてびっくり、しいたけやたけのこと長ねぎの組み合わせは、中華の春巻きそのもの。ビールください!

そして“きんとん”に合わせるのは、ブルーチーズ。今度は巻き方も変えて、スティック揚げ春巻きに。「我が家は夫婦でお酒が好きなので、きんとんはなかなかなくならないんですよね。そこで考えたのがブルーチーズとの組み合わせ。チーズの塩気ときんとんの甘味は、めちゃくちゃ合います」。確かに、絶妙な甘じょっぱさ!同じ春巻きでも、こちらはワインにぴったり。

春巻きの皮は、まさにおせちの救世主。春巻きを揚げれば、新年の運気までアゲていけそうだ!

“お煮しめ×長ねぎの春巻き”のつくり方

お煮しめ×長ねぎの春巻き

材料材料 (6本分)

★ 具材
・ 残ったお煮しめ200g(1cm角に切る)
・ 長ねぎ60g
・ 塩少々
・ 胡椒少々
春巻きの皮6枚
のり適量(薄力粉を同量の水で溶く)
揚げ油適量

1長ねぎに下味をつける

長ねぎは縦半分に切ってから、斜め薄切りにする。ボウルに入れ、塩、胡椒をふって和えておく。

長ねぎに下味をつける

2皮で具材を巻く

春巻きの皮に長ねぎ、お煮しめをのせて巻き、巻き終わりにのりを塗って留める。火が通りやすいようにやや平たくする。

皮で具材を巻く
皮で具材を巻く

3揚げる

170~180℃に熱した揚げ油で、こんがり色づくまで揚げる。具材から水分が出ないように、巻いたらすぐに揚げるのがコツ。

揚げる

“栗きんとん×ブルーチーズの春巻き”のつくり方

栗きんとん×ブルーチーズの春巻き

材料材料 (4本分)

★ 具材
・ 残った栗きんとん大さじ3
・ ブルーチーズ20g(ゴルゴンゾーラなど)
春巻きの皮6枚
のり適量(薄力粉を同量の水で溶く)
揚げ油適量

1春巻きの皮を切る

春巻きの皮を包丁やキッチンバサミで半分の大きさに切る。

春巻きの皮を切る

2皮で具材を巻く

皮に栗きんとんを細長くのせて、上にブルーチーズをのせる。手前以外の三辺にのりを塗って、手前から細長く巻く。両端をつぶして、具材が漏れないようにしっかりおさえる。

皮で具材を巻く
皮で具材を巻く
皮で具材を巻く

3揚げる

190~200℃に熱した揚げ油に入れ、チーズが溶け出さないうちに手早く揚げる。

揚げる

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。