大原千鶴さんの「今宵のあて」
オリーブオイルと米油で煮る、軽やか「オイルサーディン」

オリーブオイルと米油で煮る、軽やか「オイルサーディン」

イワシは栄養価が高く、お財布にやさしい魚です。頭付きの魚はちょっと面倒と思う方でも、三枚おろしにしなくてもいいので手間なくつくれます。煮たり焼いたりといろんな楽しみ方ができますが、今回は油で煮る、オイルサーディン。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

レモンを搾ると山椒イワシとホワイトラムが調和する

オイルサーディンは缶詰が一般的ですが、手づくりすると美味しさは格別です。イワシは何より鮮度が大事なので、買ったら寄り道はせずにさっさと持ち帰り、下準備をして塩水につけます。油でコトコト煮るイメージで、オリーブオイルと米油を半々。オリーブオイルだけだとお値段が高くつくし仕上がりが重くなるので、米油を合わせ、ひたひたになるまで注ぎます。

ポイントは油の温度で、80~90℃を保ちながら30分以上ゆっくり煮ます。温度が高いと油で揚げたみたいにイワシがカリカリになってしまいますから、温度の上がりすぎに注意してください。弱火でも細かい泡がシュワシュワ出て、ゆるく沸々している状態が目安です。小さいイワシなら骨までいただけ、残った油はパスタに使えます。

粒胡椒やハーブを油に入れるのが一般的ですが、今回入れたのは水煮の実山椒です。和風にも洋風にもアレンジでき、パンにのせてレモンを搾って食べてみたら俄然ホワイトラムのソーダ割りが欲しくなりました(笑)。オイルサーディンにもラムにもレモンをぎゅっと搾ると、すっかりキューバな気分。いい感じで酔えますよ。

オイルサーディンのつくり方

材料材料 (つくりやすい分量)

イワシ16尾(下処理した状態で正味250g)(小さめのもの)
★ 塩水
・ 水300ml
・ 塩30g
にんにく5枚(薄切り)
赤唐辛子1本(種を除く)
実山椒小さじ1弱(水煮(*))
オリーブオイル60~80ml
米油60~80ml
パン適量(お好みのもの)
ミニトマト適量(薄切り)
グリーンオリーブ適量(薄切り)
フレンチマスタード適量
レモン適量

*なければ黒胡椒(粒)少々でも代用OK。

1イワシの下準備

イワシは包丁で頭を落としてお腹の下を切り落とし、内臓を包丁の先でかき出し、手早くお腹の中を洗って水気を軽くきる。合わせておいた塩水につけて冷蔵庫で2時間置き、水気をしっかりと拭く。

2煮る

フライパンに①のイワシを並べ入れ、にんにくと赤唐辛子をのせ、実山椒を加え、オリーブオイルと米油をひたひたになるまで注ぎ、ごく弱火(80~90℃くらいを目安に)で30分間煮る。火を止め、そのまま冷ます。

煮る

3仕上げる

②のイワシを取り出し、手で骨を外す。スライスしたパンにミニトマト、グリーンオリーブ、フレンチマスタードとともにのせる。食べるときにお好みでレモンをぎゅっと搾る。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。