大原千鶴さんの「今宵のあて」
ひたすら混ぜるだけの「蕎麦がき」。硬さはお好みで

ひたすら混ぜるだけの「蕎麦がき」。硬さはお好みで

蕎麦屋さんであてをつまみながら杯を交わす至福のひととき。わが家でそんなおつまみを簡単につくれたら、お酒はどんどん進みそうです。そこで今回は店で味わうものと思っていた「蕎麦がき」に挑戦。究極のあてをどんなふうにつくるのか。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

なめらかな口あたりと蕎麦の香りは、やはり日本酒

蕎麦がきはお蕎麦屋さんでいただくもの、と思いがちですが、意外と簡単。蕎麦粉さえ手に入れば、家でも簡単につくれます。以前、蕎麦打ちを体験したことがあってとても楽しかったのですが、生地を四角く延ばすのも、細く切るのも思うようになかなかうまくいかず、蕎麦はプロに任せて、打ちたて、ゆがきたてをいただくのが一番!と実感。その点、蕎麦がきはひたすら混ぜるだけなので、簡単につくれます。

コツは、フッ素樹脂加工のフライパンを使うことと、フライパンにつきっきりで離れないこと。表面加工されていないフライパンを使うと、蕎麦がフライパンに引っ付いてネチネチ、ぬるぬるになってしまいます。蕎麦粉を混ぜるときは押しつけるように練って、仕上がりの硬さはお好みで。

温かいうちが絶対に美味しいので、完成したらすぐに召し上がってください。蕎麦つゆでなくても、市販の麺つゆや、醤油とかつお節をかけるだけでも十分です。お酒は、言うまでもなく日本酒。お腹が膨れてしまうので、お酒呑みの方には少なめがお薦めです。

蕎麦がきのつくり方

材料材料 (1~2人分)

蕎麦粉50g
130~150ml
長ねぎ適量(白い部分、小口切り)
わさび適量
麺つゆ適量(市販・4倍希釈のものを希釈せずに使用)

1生地をつくる

フライパン(フッ素樹脂加工したもの)に蕎麦粉を入れ、水を少しずつ加えてヘラでなめらかになるまでよく混ぜる。

生地をつくる

2混ぜる

弱めの中火にかけ、2~3分絶えずヘラで混ぜる。生地がまとまって弾力が出て、好みの硬さになったら、火を止める。

混ぜる
混ぜる

3仕上げる

器にねぎとわさびとともに盛り合わせ、温かいうちに麺つゆにつけていただく。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。