シンプルに調理した野菜は季節ごとの美味しさがあり、特に夏野菜は、さっと調理しただけで旨味が増すものが目白押し。炙っただけの万願寺とうがらしもしかり。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
私は野菜が大好きで、あてにも旬の野菜は欠かせません。万願寺とうがらしは、京都の夏野菜で、独特の甘味や香りがあり、加熱するとさらに美味しさが増します。焼いたり、炒めたりすることが多いですが、私が好きなのは炙り!ガス火で直接炙るだけでいい香りが立つので、パチパチという音を聞きながら全体をまんべんなく炙ります。
これに生醤油をかけるのが一般的ですが、それだけだとちょっと辛いのでほんの少しだけお砂糖を加えます。甘味を足すことでまろやかになり、かつお節を足せばさらに美味しくなるんです。
つくり込んだあては盛り上がりますが、手数が少ない野菜料理はいつでも体が受け付けてくれ、夏バテのときでもいただけます。お酒は何でもOKですが、キリッと冷えた日本酒のお供にぜひ。ゆっくり味わってください。
万願寺とうがらし | 2本(約60g) |
---|---|
濃口醤油 | 小さじ1 |
砂糖 | ひとつまみ |
かつお節 | 適量 |
万願寺とうがらしを金串に刺して直火で炙る。全体がこんがりと焼けたらバットに取り出して金串を外す。
醤油と砂糖を混ぜ合わせたボウルに、①の万願寺とうがらしを熱いうちに入れ、箸で転がしてからめる。
器に盛り、かつお節をかける。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ