猛暑で夏バテ気味の8月。お酒は呑めるけれど、たくさんは食べられない。そんな人には高タンパクのあてがお薦めです。お肉と野菜を同時にとれて、それも焼くだけの一工程で完成する串焼きはとても夏向き。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
この季節は、台所に立つのも、火を使うのも億劫。かといって、冷たいものやあっさりしたものばかりでは、宴の席がちょっと寂しい。たくさんは要らないけれど、お肉のつまみが少しあるとうれしいですよね。
豚肉と玉ねぎはテッパンの組み合わせ。豚の脂と玉ねぎがとても合うんです。豚トロだと十分脂があるので、油はひかず、玉ねぎに脂を吸わせるように焼きます。ポイントは焼き目がつくまで動かさないこと。とっても簡単です。
味つけもあえてせず、塩とレモンのみ。脂の旨味と玉ねぎの甘味があるので、余計なことはしません(笑)。お酒はビールもいいですが、この脂をうまくきってくれるレッドアイがお薦めです。味の相性も良くて、後味もスッキリ。今の季節ならではのマリアージュです。
豚トロ | 6枚(約50g) |
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玉ねぎ | 1/4個(約50g) |
レモン | 適量 |
花椒塩 | 適量 |
玉ねぎは1.5cm幅のくし形切りにして、さらに半分に切る。豚トロも半分に切る。
玉ねぎと豚トロを串に刺し、両面に塩少々(材料外)をふる。
フライパン(フッ素樹脂加工したもの)に②の串を並べ入れて強めの中火にかけ、全体が白っぽくなりこんがりと焼き目がつくまで動かさずに焼く。上下を返してもう片面も同様にこんがりと焼いて火を通す。
器に盛りつけ、くし形に切ったレモンを添え、お好みで花椒塩をつけていただく。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ