大原千鶴さんの「今宵のあて」
玉ねぎドレッシングでお刺身を格上げ。華やかな「カンパチの香りカルパッチョ」

玉ねぎドレッシングでお刺身を格上げ。華やかな「カンパチの香りカルパッチョ」

魚は煮たり、焼いたりするのがひと手間ですが、刺身は調理いらずで、すぐ食べられる上に、ご馳走感もあります。今回ご紹介するのは、カンパチの刺身をひとアレンジでより美味しく、アップデートした一品。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

脂がのる魚やドレッシングのコクをジンソーダでスッキリと

お刺身は、食べやすくて美味しいので私も大好きです。でも、スーパーで買うパック入りのお刺身は、料理屋さんの切りたてのものに比べるとエッジがなく、見映えもいイマイチ。「なんかぼんやりしていて、いまひとつだな」と思ったときは、そのまま食べるよりカルパッチョにすることをお薦めします。

ご紹介する玉ねぎドレッシングは、魚介はもちろん、野菜にもよく合う、わが家の定番ドレッシングです。お酢はまろやかな酸味の米酢、油は香りを抑えたすっきりとした後味の焙煎していない胡麻油を使っています。材料を混ぜるだけですが、塩を溶かしてから玉ねぎと胡麻油を混ぜ合わせることがポイントです。

私は、お刺身は柵で買い求め、薄切りをいただくのが好きなんです。特にカルパッチョは薄く切ると味がなじんでより美味しさが増し、薬味を包んで味わうことができます。器に盛り、薬味を散らすだけで華やかになり、パックに付いている大根のけんを混ぜ合わせればサラダ感覚で楽しめ、ボリュームも増します。

カンパチに限らず、鯛やサーモン、帆立貝柱などでつくってもOKです。玉ねぎドレッシングと絶妙の相性で、お酒はジンソーダが好相性。ドレッシングの軽やかな酸味やコクに合い、スッキリとした後味にしてくれます。

かんぱちの香りカルパッチョのつくり方

材料材料 (2人分)

★ 玉ねぎドレッシング(つくりやすい分量)
・ 玉ねぎのすりおろし45ml
・ 塩大さじ1
・ 米酢90ml
・ みりん90ml(煮きったもの)
・ 胡麻油*90ml(白)
カンパチ約80g(柵、刺身用)
青じそ3~5枚
みょうが1本
生姜少々
粗挽き黒胡椒少々

*胡麻油(白)がない場合は、米油で代用可。

1玉ねぎドレッシングをつくる

ボウルに塩、米酢、みりんを入れてよく混ぜ、胡麻油と玉ねぎを加えて混ぜ、清潔な保存容器に移す(冷蔵で1ヶ月ほど保存可)。

玉ねぎドレッシングをつくる

2材料を切る

カンパチは薄切りにする。青じそはせん切り、みょうがは薄い輪切り、生姜はみじん切りにし、それぞれ水にサッとさらして水気を絞る。

3仕上げる

器にカンパチを盛る。生姜をちらし、玉ねぎドレッシング(適量)をよく混ぜてかけ、青じそとみょうがをあしらい、あれば粗挽き黒胡椒をふる。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。