キムチと聞くと白菜や大根が定番ですが、ご紹介するのはトマトのキムチ。それも簡単で、思い立ったらすぐにつくれ、日本のお酒にも違和感なくなじむキムチです。一体、どんなふうにつくるのか。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
キムチはいつも常備していますが、これはさっとつくれる、あてになるキムチです。漬け込んで発酵させていないので、厳密に言うと即席のキムチ風の和え物です。キムチだれでさっと和えるだけで、味わうとピリ辛で、トマトがひと味違う味わいに。トマト好きにはたまらない美味しさです。
たれは、キムチの基本材料である韓国産唐辛子、にんにく、ナンプラーに、胡麻油と砂糖を合わせています。ナンプラーがなければ、魚介の塩辛を使い、アンチョビで代用しても構いません。あとは、湯むきしたトマトを合わせるだけです。
和えるだけなのでキムチよりもフレッシュな野菜の美味しさが感じられ、いろんな野菜でつくれます。水分が多いと食感が損なわれたり、味がぼやけてしまうので、白菜やキャベツ、きゅうりでつくるときは、2%の塩でもんで水気をきってから和えます。
和えたてはサラダ感覚、しばらく置くと味がなじんで旨味が増し、お酒が進みます。トマトの瑞々しさとキムチだれのコクに、焼酎がぴったり。軽やかな麦焼酎がよく合います。
トマト | 1個(150g) |
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A | |
・ 韓国唐辛子 | 小さじ1/2(中挽き) |
・ 砂糖 | 小さじ1/2 |
・ ナンプラー | 小さじ1/2 |
・ ごま油 | 小さじ1/2 |
・ おろしにんにく | 小さじ1/4 |
・ 塩 | 2つまみ |
白胡麻 | 適宜 |
トマトは熱湯に10秒ほどくぐらせ、氷水にとり、皮をむいて小さめの一口大の乱切りにする。
ボウルにAを入れて混ぜ、①を加えてよく和える。
器に盛り、あれば白胡麻をふる。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ