大原千鶴さんの「今宵のあて」
豊かな旨味と香りの余韻を楽しむ「新玉ねぎとパクチーと桜海老のかき揚げ」

豊かな旨味と香りの余韻を楽しむ「新玉ねぎとパクチーと桜海老のかき揚げ」

揚げ物は、素材そのものを味わうもよし、香りや食感を楽しむもよしのお酒のあて。今回は、旬の桜海老と新玉ねぎを使ってかき揚げにしてみました。さらにパクチーを加えて、素材の旨味と香りを立たせたちょっとアジアンな味わいに。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

油物の後味をリセットしてくれる柑橘系ビールがお薦め

かき揚げは、天ぷらのひとつですが、衣がちょっと違います。かき揚げの衣は、素材をひとまとめにしてくれるつなぎ役。素材をまとめつつ、ポテッとならないように仕上げるのが大事です。

まず、桜海老と玉ねぎ、パクチーに下粉をふってざっくり混ぜ、その後に衣液を加えます。衣液は、糊状になるまでよく混ぜ、モチッとさせるのがポイントです。こうすることで素材同士がくっつき、まとまります。でも、色良く、香りを立たせたいので衣液はつけすぎず、薄衣で揚げます。

油の中にそっとタネを入れたら立体的にまとめ、そのままの状態で揚げ、返します。衣の表面が固まらないうちに箸で刺したり、いじったりすると、油っぽくなるので触らないこと。これもポイントです。

パクチーは好き嫌いがありますが、お好きな方はたっぷり使ってください。油と相性が良く、根っこを入れるとさらに香りが増します。ビールがぴったりで、エスニックなかき揚げなのでフレーバービールもいいですね。柑橘の爽やかな香りと苦味が感じられ、揚げ物の油をさっぱりとリセットしてくれます。

新玉ねぎとパクチーと桜海老のかき揚げのつくり方

材料材料 (2人分)

新玉ねぎ50g(皮をむいたもの)
パクチー1株(30g)
桜海老大さじ1
小麦粉大さじ1(下粉用)
A
・ 小麦粉大さじ2
・ 水大さじ2
米油適量
少々
花椒塩適宜

1野菜を切る

玉ねぎは1cm幅のくし形切りにする。パクチーは4cmの長さに切り、根も使う。

2具を合わせる

①の玉ねぎをほぐしながらボウルに入れ、①のパクチー、桜海老、下粉用の小麦粉を加えて箸で混ぜ、粉を全体にまぶす。

具を合わせる

3生地を合わせる

よく混ぜたAを、②に加えて混ぜる。

4油で揚げる

フライパンに米油を1cmほどの高さまで入れ170℃に熱し、③を大きめのひと口大ずつ落とし入れる。表面が固まってきたら、箸で上下を時々返し、カラッとなったら取り出し、油をきる。

5仕上げる

器に盛って、仕上げに塩をふる。お好みで花椒塩を添えても。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。