大原千鶴さんの「今宵のあて」
濃厚なチキンスープがあてになる「鶏豆腐」

濃厚なチキンスープがあてになる「鶏豆腐」

汁物や汁気の多いものは、お酒に合わせるのはちょっと、と思われがちですが、ひと工夫でお酒のあてに早変わりします。中華風の「鶏豆腐」は、チキンスープを濃厚に仕立てるとスープとお酒が急接近。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

中華のまったりとした味わいに、爽やか上海ハイボールを

「鶏豆腐」は、鶏肉がメインのようですが、実はスープが主役。お酒が呑める汁仕立ての一品です。鶏肉は、煮るだけで美味しく、濃厚なスープになるので、しっかり炊いて仕上げます。

鶏もも肉から出る旨味と鶏がらスープで味が完成し、仕上げにねぎとラー油を添えるだけ。失敗なしの安心の味です。もちろん鶏肉も豆腐も美味しく召し上がっていただけ、コツは鶏肉はコトコト炊いて、豆腐は温める程度。時間を置くと豆腐から水分が出て味がボケてしまうので出来たてを味わってください。

中華風の味に合わせてお酒は上海ハイボールにしました。紹興酒を炭酸水で割り、レモンを絞ったものが、さっぱりと呑みやすく、濃厚なスープの後味を爽やかにしてくれます。

鶏豆腐のつくり方

材料材料 (2人分)

鶏もも肉1枚(200g)
A
・ 水300ml
・ 顆粒の鶏がらスープ小さじ2
絹ごし豆腐1/2丁(200g)
青ねぎ適量(小口切り)
食べるラー油適量(市販品)

1材料を切る

鶏肉は一口大のそぎ切りにする。豆腐は3cm角に切る。

2鶏肉を煮る

鍋にAを入れてひと混ぜし、①の鶏肉を加えて中火にかける。沸いたらアクを取り、蓋をしてコトコトと15分煮る。

3豆腐を煮る

豆腐を②に入れてサッと煮る。豆腐が温まったら完成。

豆腐を煮る

4仕上げる

器に汁ごと盛り、青ねぎとラー油を添える。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。