器を引き立たせるレシピ
朝の爽やかなひと皿"手づくりコーンドビーフ サンドイッチ"

朝の爽やかなひと皿"手づくりコーンドビーフ サンドイッチ"

缶詰コンビーフでつくるのとはまた一味違った味わいです。つくり置きもできるので、朝の定番にどうぞ。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。

lesson7 ブルートーンの器

ブルートーンの器
ブルートーンの器とは?
爽やかな水色から鮮やかなターコイズブルー、深い藍色まで色の幅は広いが、古くは中国の唐三彩やイスラムの染め付け、日本の伊万里焼など、特にコバルトカラーの顔料を用いた絵付けが多い。また青磁や染め付けは昔から日本人になじみがあるものなので、使いこなしやすいはず。

実は今回のテーマは、「色柄のある器」となる予定でした。ところが〈オカズデザイン〉の食器棚から色柄のある器を抜き出して並べてみたところ、青い器、青味がかった色の器、青い柄の器が予想外にたくさんあったのです。「青をはじめとした寒色は、食欲を減退させるから避けたほうがいい」といわれることもありますが、こんなにたくさんあるならば、きっと料理との相性がいいに違いない。そこで改めて、ブルートーンの器をテーマとして分析してみることに。


「オーバルは使いやすい、オールマイティなのはグレートーン、などと意識して器を選ぶこともありますが、ブルートーンの器は無意識に集まっていたもの。改めて考えてみると、日本でも古来、染め付けや印判など白地に藍の柄の器は多いし、青磁もある。源流である中国はもちろん、その影響が及んだヨーロッパにもたくさんありますよね。やっぱり料理を引き立ててくれる色だからこそ、なのではないでしょうか」


確かに西洋のアンティークにも、タイやベトナムなどのアジア諸国にもブルー&ホワイトの食器は多く、青を用いた器が古今東西で愛されてきたことがわかります。ほかの器とのコーディネートがしやすいのも長所で、土っぽい器やクリアなガラスとの相性も抜群。無地が並ぶなかに1点あるだけで、悪目立ちすることなく食卓にメリハリが出るのです。
「特に、“青”とひと言では表せないような微妙なブルーグリーン、パープル寄りのブルー、青味がかったグレーといったニュアンスのある色合いは、和洋中とメニューを選ばず盛りつけやすいのでおすすめです」


寒色だからといって食卓が寒々しくなる心配はありません。むしろ冬の澄んだ空気のような透明感のある色合いが、根菜や煮物などで茶色く沈みがちなテーブルに抜け感を出してくれるはず。ぜひトライしてみてください。

“手づくりコーンドビーフ サンドイッチ”のつくり方

コーンドビーフというと缶詰を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、もともとは塩漬けした牛肉をゆでた保存食。自家製のおいしさといったら、今までの“コンビーフ観”が変わるほどのおいしさです。つくり置きできるから、朝からスペシャルなサンドイッチもあっという間に完成。ついお酒を合わせたくなっちゃうから、ペールブルーの皿にのせて、ブルー&ホワイトのコーヒーカップを添えて朝食らしく爽やかに(笑)。皿は〈スターネット〉のオリジナル、コーヒーカップは母が愛用していた〈マイセン〉のブルーオニオンシリーズです。

材料材料 (つくりやすい分量)

■コーンドビーフ用材料
牛すね肉またはもも肉500g(塊、適度に脂があるもの)
★ ソミュール液
・ 水500ml
・ 塩50g
・ 黒胡椒2g
・ ローリエ1枚
・ クローブ5粒
A
・ 生姜10g(皮つき)
・ にんにく1片(皮をむく)
B
・ セロリ1本
・ にんじん1本
・ 玉ねぎ1/2個
・ 長ねぎの青い部分1本分
・ にんにく1片(皮つき)
・ ミニトマト1個
・ ローリエ1枚
■サンドイッチ用材料
食パン2枚(厚さ1cm強)
バター適量
マスタード適量
レタス適量

1ソミュール液をつくる

ソミュール液の材料を鍋に入れて強火にかけ、沸騰したら火を止める。そのまま常温になるまでおく。

2漬ける

密封できるポリ袋に、キッチンペーパーで水気を拭いた牛肉とA、1を入れる。なるべく空気を追い出しながら封をして、肉が完全に液体につかっている状態で冷蔵庫に入れ、3日~2週間おく。

3野菜を鍋に入れる

Bのセロリ、にんじん、玉ねぎ、長ねぎを大きめのぶつ切りにして残りのBの材料とともに鍋に入れる。2の肉を取り出して水でさっと洗い、水気をキッチンペーパーで拭き取ってから同じ鍋に加え、ひたひたになるまで水を加える。

4煮込む

鍋を強火にかけ、沸騰したらごく弱火にし、キッチンペーパーなどで落とし蓋をする。さらに鍋の蓋をして、2時間半煮込む。途中で様子を見て、材料が水から出てしまうようならつど、水を足す。

5ほぐす

火を止めて蓋をしたまましばらくおく。粗熱が取れたら肉を取り出し、フォークで肉の繊維に沿って細かくほぐす。密閉容器に入れて冷蔵庫で保存。1週間(冷凍庫なら1ヶ月)ほど日持ちする。

6仕上げ

食パンをこんがり焼き、片面にバターとマスタードを塗る。5をレタスと一緒にたっぷり挟む。

完成

教える人

オカズデザイン

2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。

※この記事の内容は、四季dancyu「冬のレシピ」に掲載したものです。

四季dancyu 冬のレシピ
四季dancyu 冬のレシピ
A4変型判(120頁)
2021年12月15日発売/1,100円(税込)

文:藤井志織 写真:伊藤徹也