缶詰コンビーフでつくるのとはまた一味違った味わいです。つくり置きもできるので、朝の定番にどうぞ。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
実は今回のテーマは、「色柄のある器」となる予定でした。ところが〈オカズデザイン〉の食器棚から色柄のある器を抜き出して並べてみたところ、青い器、青味がかった色の器、青い柄の器が予想外にたくさんあったのです。「青をはじめとした寒色は、食欲を減退させるから避けたほうがいい」といわれることもありますが、こんなにたくさんあるならば、きっと料理との相性がいいに違いない。そこで改めて、ブルートーンの器をテーマとして分析してみることに。
「オーバルは使いやすい、オールマイティなのはグレートーン、などと意識して器を選ぶこともありますが、ブルートーンの器は無意識に集まっていたもの。改めて考えてみると、日本でも古来、染め付けや印判など白地に藍の柄の器は多いし、青磁もある。源流である中国はもちろん、その影響が及んだヨーロッパにもたくさんありますよね。やっぱり料理を引き立ててくれる色だからこそ、なのではないでしょうか」
確かに西洋のアンティークにも、タイやベトナムなどのアジア諸国にもブルー&ホワイトの食器は多く、青を用いた器が古今東西で愛されてきたことがわかります。ほかの器とのコーディネートがしやすいのも長所で、土っぽい器やクリアなガラスとの相性も抜群。無地が並ぶなかに1点あるだけで、悪目立ちすることなく食卓にメリハリが出るのです。
「特に、“青”とひと言では表せないような微妙なブルーグリーン、パープル寄りのブルー、青味がかったグレーといったニュアンスのある色合いは、和洋中とメニューを選ばず盛りつけやすいのでおすすめです」
寒色だからといって食卓が寒々しくなる心配はありません。むしろ冬の澄んだ空気のような透明感のある色合いが、根菜や煮物などで茶色く沈みがちなテーブルに抜け感を出してくれるはず。ぜひトライしてみてください。
コーンドビーフというと缶詰を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、もともとは塩漬けした牛肉をゆでた保存食。自家製のおいしさといったら、今までの“コンビーフ観”が変わるほどのおいしさです。つくり置きできるから、朝からスペシャルなサンドイッチもあっという間に完成。ついお酒を合わせたくなっちゃうから、ペールブルーの皿にのせて、ブルー&ホワイトのコーヒーカップを添えて朝食らしく爽やかに(笑)。皿は〈スターネット〉のオリジナル、コーヒーカップは母が愛用していた〈マイセン〉のブルーオニオンシリーズです。
■コーンドビーフ用材料 | |
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牛すね肉またはもも肉 | 500g(塊、適度に脂があるもの) |
★ ソミュール液 | |
・ 水 | 500ml |
・ 塩 | 50g |
・ 黒胡椒 | 2g |
・ ローリエ | 1枚 |
・ クローブ | 5粒 |
A | |
・ 生姜 | 10g(皮つき) |
・ にんにく | 1片(皮をむく) |
B | |
・ セロリ | 1本 |
・ にんじん | 1本 |
・ 玉ねぎ | 1/2個 |
・ 長ねぎの青い部分 | 1本分 |
・ にんにく | 1片(皮つき) |
・ ミニトマト | 1個 |
・ ローリエ | 1枚 |
■サンドイッチ用材料 | |
食パン | 2枚(厚さ1cm強) |
バター | 適量 |
マスタード | 適量 |
レタス | 適量 |
ソミュール液の材料を鍋に入れて強火にかけ、沸騰したら火を止める。そのまま常温になるまでおく。
密封できるポリ袋に、キッチンペーパーで水気を拭いた牛肉とA、1を入れる。なるべく空気を追い出しながら封をして、肉が完全に液体につかっている状態で冷蔵庫に入れ、3日~2週間おく。
Bのセロリ、にんじん、玉ねぎ、長ねぎを大きめのぶつ切りにして残りのBの材料とともに鍋に入れる。2の肉を取り出して水でさっと洗い、水気をキッチンペーパーで拭き取ってから同じ鍋に加え、ひたひたになるまで水を加える。
鍋を強火にかけ、沸騰したらごく弱火にし、キッチンペーパーなどで落とし蓋をする。さらに鍋の蓋をして、2時間半煮込む。途中で様子を見て、材料が水から出てしまうようならつど、水を足す。
火を止めて蓋をしたまましばらくおく。粗熱が取れたら肉を取り出し、フォークで肉の繊維に沿って細かくほぐす。密閉容器に入れて冷蔵庫で保存。1週間(冷凍庫なら1ヶ月)ほど日持ちする。
食パンをこんがり焼き、片面にバターとマスタードを塗る。5をレタスと一緒にたっぷり挟む。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
※この記事の内容は、四季dancyu「冬のレシピ」に掲載したものです。
文:藤井志織 写真:伊藤徹也