旨味がしみたぶりに長いもの歯ごたえが華を添える。膨らみのある本醸造と合わせたい。日本酒好きに愛される鎌倉の居酒屋「おおはま」店主に、ちびちびやるのに最適なつまみを教えてもらいました。
鎌倉駅からふらりと海のほうへ5、6分。ぽつりと現れる「旬の菜と旨い酒 おおはま」の店主・大濱幸恵さんに日本酒に合う豆皿つまみを教わった。
店には毎夜、たくさんのつまみメニューが並ぶ。「日本酒の特徴に合わせて、お互いのよさを引き出す料理を提供したい」という心意気だが、なにせワンオペレーション。スムーズに回すための仕込みやオーダー後の仕上げに大濱さんの培った技がある。今回の豆皿のレシピはその一端を感じさせる、シンプルながら酒のよさを引き出す和風のつまみ12品だ。
どの料理も食材そのものの特徴を引き出し、優しい味わいでまとまっているが、アクセントの薬味でガラッと印象が変わる。食感も心地よい印象を残し、噛んでいるうちにふと酒に手が伸びる仕立て。そして、ぜひ欲しいのが「だし」。小鍋などのだしにしみ出した食材の旨味で日本酒を楽しむ。ああ、体も心も温まる。早速、今宵ぜひ一献。
旨味がしみ込んだぶりが噛みしめるごとに旨い。シャキシャキの長いもとの相性も間違いなし。膨らみがあって、魚の脂をきってくれる控えめな香りの酒と合わせて。
ぶり | 80g(刺身用) |
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長いも | 60g |
ほうれん草 | 1束 |
醤油 | 小さじ1/2 |
針海苔 | 適量 |
わさび | 適量(できれば本わさび) |
★ 〈漬け汁〉 | |
・ 酒 | 大さじ1 |
・ みりん | 大さじ1 |
・ 醤油 | 大さじ2 |
漬け汁の材料を鍋に入れて火にかける。一度煮立てたら火を消し、冷ましておく。
ぶりを1.5cm角に切り、ビニール袋に入れる。そこへ1を入れて口をしばり、冷蔵庫で30分~1時間漬け込む。
ほうれん草はゆでて水にさらし、水気をしっかり絞る。醤油(分量外)を軽く全体にしみ込ませたら、水分を絞る(醤油絞り)。長さ3cmほどに切る。
長いもは皮をむいてから細かなさいの目状に切り、軽く全体をたたく。
2をザルにあげ、漬け汁をよくきってからぶりをボウルに入れる。そこに3と4を加える。
味をみて、醤油で味を調えながら和える。皿に盛って針海苔とわさびをのせる。
日本酒好きのオアシス「おおはま」を一人で切り盛り。全9席の小体な店ながら、その居心地のよさに阿佐ヶ谷から2014年に鎌倉に移転した今でも当時の客が通ってくるという。酒との相性を考えたさまざまな料理を出すため、仕込みからオペレーションまで日夜工夫を絶やさない。
※この記事の内容は、「dancyu定番シリーズ 豆皿つまみと小鍋つまみ」に掲載したものです。
取材:田中鮎美 撮影:鈴木泰介