じゃがいもをソースのように使った、しっかりと食べ応えのあるパスタです。パスタが主食のデザイナー・ハヤシコウさんに、パパっとつくれるシンプルなパスタを習いました。この週末のランチにつくってみませんか?ハヤシさんのパスタは、優しい味わいなので、お好みで調味してみてください。
イタリアの田舎に住んでいた頃、近所にスーパーマーケットがないので、地元の野菜を扱う八百屋や肉屋で買い物をしていました。真冬になると、野菜がぜんぜんなくて(じゃがいもやにんじん、柑橘類しかない……)、そんな時につくるのがこのパスタ。
じゃがいもの食べ方としてはローストが一番好きだけど、こんな風に少し崩れてるのも好き。ケイパーやレモンが入るから、地味な見た目とは違ってスッキリとした味です。無農薬のレモンがあるならば、ぜひ皮も使ってくださいね。削ったレモンの皮の華やかな香りでしあわせ度がぐっと増しますので。
合わせるワインは、やっぱりレモンの産地のものがいい。レモンというとスッキリとした白ワインを選びがちだけど、季節のレモンは酸味だけでなく、旨味もあるので、ロゼワインがぴったりくる。南イタリアのアマルフィよりも少し南にくだった、サレルノの「チレント ロザート」などがお薦めです。サンジョヴェーゼ種が主体のやや濃いめの色調のロゼですが、タンニンも柔らかくて飲みやすい。レモンの酸味や旨味、皮の苦味はもちろん、ジャガイモやチーズの優しい甘さとの相性も良いです。
パスタ | 160g(モリサーナ 1.45mm) |
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じゃがいも | 100g(男爵) |
ケイパー | 5g(酢漬け) |
レモン汁 | 25g |
グラナパダーノチーズ | 60g |
バター | 20g |
塩 | 3g |
レモンの皮 | 適量(あれば) |
じゃがいもは皮を剥き、1cm角に切る。
鍋に1Lの湯を沸かし、塩と①のじゃがいもを入れ、中火にかける。沸騰したらパスタを加え、時々混ぜながら袋の表示より1分長くゆでる(ゆでる湯を少なくすることで、パスタにじゃがいもの旨味を吸わせます)。
200mlのゆで汁をボウルに取っておく。茹で上がったじゃがいもとパスタの湯を切り、鍋に戻す。
③のフライパンにレモンの汁とケイパーと取っておいた200mlのゆで汁を入れ火にかける。
沸いてきたら、バターとグラナパダーノチーズを入れ混ぜ合わせる(バターとチーズを加えることで、じゃがいものでんぷんが固まらず、クリーミーな仕上がりに)。
器に盛り、レモンの皮(無農薬の場合)を振りかけて完成。
人呼んで“日本人初のイタリア人”。イタリアを愛し、イタリアに魅せられて早28年。トスカーナ州ルッカでレストランのキッチンを、ロンバルディア州ソンドリオでレストランのサービスを、マルケ州ウルビーノで美術学校で印刷技術と広告デザインを学び、現在はデザイナーとして活躍しながら、神奈川県・小田原のイタリア料理店「クインディチ」に立つ日もある。
撮影:海老原俊之 構成:編集部