辻仁成の“パリ・サラダ”
辻 仁成の"パリ・サラダ"|第二十三回"かぼちゃとカリフラワーのロティ、タヒニソースサラダ"

辻 仁成の"パリ・サラダ"|第二十三回"かぼちゃとカリフラワーのロティ、タヒニソースサラダ"

最高に美味しい焼き野菜のサラダのレシピです。作家、ミュージシャン、映画監督など幅広く活躍をしている辻仁成さんは、本誌の連載「キッチンとマルシェのあいだ」でも書いているように、多彩で美味しい料理をつくります。パリに住んで20年の辻さんによる、美味しさと思い出の詰まった“パリ・サラダ”のレシピです。

パリのマダムに愛されているサラダ

世界各国に、その国や地域に密着し愛される調味料がある。今日、ご紹介する「タヒニ」なる調味料はとくに中東などで欠かせない。中東料理になくてはならないタヒニはゴマをペースト状にしたものだ。日本の「練りごま」にかなり似ている。違いは、練りごまが煎って焙煎したゴマをすり潰して作るので香ばしく濃厚なのに対して、タヒニは生の白ごまをそのまますり潰してペーストにする。だから、むしろゴマ成分の味わいが強く、色も練りごまに比べ薄く濃度もややクリームに近い。

タヒニ

生なので酵素が生きていて、美肌やアンチエイジング効果が高い、と言われている。ゴマの香りがする豊潤なクリームソースという感じ。練りごまよりも幾分守備範囲が広いというか、使いやすい感じもする。ライトな練りごまという印象であろうか。ぼくのような海外居住者にとってタヒニは練りごまの役目も担っている。「小松菜の練りごま和え」が食べたくなると、ルッコラをサッと茹でタヒニで和えたりしている。これも最高!

もっとも多く使われるのは昨今世界的にも大ヒットしているフムス。フムスはひよこ豆とこのタヒニで作った中東のディップなのだが、フランスでのフムス人気は爆発的で、スーパーに行くと幾種類ものフムスが棚を奪い合っている。ぼくの冷蔵庫からフムスが消える日はない。健康的で美味しいディップなのだ。栄養価が高いこのタヒニは健康志向な人たちを通して欧米でもヒットしたゴマの風味とコクが強い調味料なのである。フムスを通して、欧米でも、このタヒニの需要が高まっている。

とにかく、焼き野菜によくあう、万能調味料なのである。

さて、今日はそんなタヒニを使った、最高に美味しい焼き野菜のサラダをご紹介しましょう。「カリフラワーとかぼちゃで作る、野菜のロティ、タヒニソースがけ」。サラダ一食で、昼のカロリーや空腹をおさえ健康を維持したいと考える方々、行動的で美しいマダムたちに、とくに愛されていますよ。

かぼちゃとカリフラワーのロティ、タヒニソースサラダのつくり方

材料材料 (2人分)

かぼちゃ1/2個(小)
カリフラワー1/2個(小)
オリーブオイル適量
フルール・ド・セルひとつまみ(塩)
粗びき黒胡椒少々
ルッコラ適量
★ タヒニソース
・ タヒニ大さじ3
・ レモン汁大さじ2
・ 水大さじ3
・ オリーブオイル大さじ2
・ おろしにんにく少々
・ 塩適宜
・ 胡椒適宜
パリのかぼちゃ
パリのかぼちゃ

1野菜の下準備

かぼちゃの皮をむいて、サイコロ状に切る。カリフラワーをかぼちゃと同じくらいの大きさに切りわける。

2野菜を焼く

オーブンを220℃に予熱し、オーブン皿にクッキングシートを敷き、かぼちゃとカリフラワーを並べ、上からオリーブオイルをまんべんなくかけ、フルール・ド・セルと黒胡椒をパラパラとふっておく。オーブンで15分焼く。

野菜を焼く
野菜を焼く

3タヒニソースをつくる

ボウルにタヒニソースの材料をすべて入れ、よく混ぜる。硬すぎる場合は水を足してのばす。ふわっと生クリームのように仕上げるのがコツ。

タヒニソースをつくる

4仕上げる

焼き上がった野菜をお皿に並べ、ルッコラをちらしたら、タヒニソースをたっぷりかけて召し上がれ。

完成

文:辻 仁成 写真・協力:Miki Mauriac