辻さんがローマで食べた感動の味とは?作家、ミュージシャン、映画監督など幅広く活躍をしている辻仁成さんは、本誌の連載「キッチンとマルシェのあいだ」でも書いているように、多彩で美味しい料理をつくります。パリに住んで20年の辻さんによる、美味しさと思い出の詰まった“パリ・サラダ”のレシピです。
イタリアのベネチアあたりに行くと、ベリーニというカクテルが大人気でして、しかも、桃のベリーニがこれまた素晴らしい。夏になると、桃の上品な味わいに、発泡酒が実に繊細にとけあったこのカクテルが飲みたくなりますですね?ベネチアは恋をするたびに行きましたが、全部、ダメでした。あはは。
しかし、カクテルに罪はない。パリではあまり見かけない桃のベリーニですが、高級ホテルのラウンジなどに行くと、出てきます。夏といえば、このカクテルなんです。
そこで、八百屋で美味しそうな桃を見つけたので(こちらの桃は平べったいのです。しかも、美味しい!)。最初、カクテルを作ろうと思ったのですが、桃とモッツァレラを組み合わせたサラダを先日、ローマで頂き、感動したばかりだったので、ここはサラダ連載のために一肌脱いだ作家・辻仁成でございました。ああ、これをdancyuの読者の皆さんにお伝えすることが、わたくしめの、使命なのだぁ~、と思ったのですね。
今日、ご紹介する桃とモッツァレラのサラダですが、辻家では、というか、ぼくは、アペロの時間に、おつまみとして食べることが多いです。この超シンプルなサラダとグラスに注いだシャンパーニュ、もう、最高です。イタリアに行く必要がないくらい。ベリーニなんか飲まなくても、シャンパンでいいじゃないですか、という元も子もない話になってしまいましたが、そのくらい、夏には最高の一皿になります。桃の香り、シャンパーニュの香り、申し分ございません。冷やした桃でぜひ、お試しくださいませ。ううう、ぼにっしも~。では、さっそく、一緒に作ってみましょう。
よく熟れた桃 | 1個 |
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美味しいモッツァレラチーズ | 1個 |
塩 | 適量 |
胡椒 | 適量 |
粗挽きの鷹の爪 | 適量 |
オリーブオイル | 適宜 |
桃の皮をむいて、8等分ほどに切っておく
モッツァレラチーズを手でちぎる。モッツァレラは美味しいものを選んでください。手でちぎって並べるのがこのサラダの醍醐味であり、美味しさのコツとなります。
美味しいオリーブオイルを全体にかけたら、よく冷やし、最後に塩と胡椒、鷹の爪をふりかけて召し上がれ。ミントやバジルなどがあれば、一層、美味しくなりますよ。ボナペティ!
文:辻 仁成 写真・協力:Miki Mauriac