大原千鶴さんの「今宵のあて」
辛味と旨味、食感が絶妙な「チャンジャ切り干し」

辛味と旨味、食感が絶妙な「チャンジャ切り干し」

タラの塩辛で、魚のキムチとも呼ばれるチャンジャはそのまま珍味として、切り干し大根は炊いておばんざいに、というのが定番ですが、この二つを和え物にすると目から鱗の美味しいあてに。独特の旨味と食感を楽しめ、相乗効果でさらにお酒が進みます。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、ひと手間でできる韓流おつまみを教えていただきました。

滋味あふれる韓国風和え物に、ほのかな甘味と酸味のマッコリが寄り添う

切り干し大根は炊いた常備菜が一般的ですが、最近、私が気に入っている食べ方は戻した大根を生のままいただく、こんな和え物。炊くとおかずっぽくなりますが、さっと戻した切り干し大根は独特の歯ごたえや甘い味わいがあって、サラダ感覚で楽しめます。

チャンジャも切り干し大根も加工食品なので、シンプルに醤油と胡麻油だけで味がまとまり、お酒に合う滋味深い一品に早変わりします。チャンジャや塩辛などの珍味類は、そのままだとちょっとつまむだけで、時間が経つうちに忘れられて冷蔵庫の片隅に……ということがよくありますよね。でもこんなふうに切り干し大根と和えると味変し、かさ増しされるので食べごたえのあるあてになります。

ポイントは切り干し大根を水につけすぎず、ぎゅっと絞って食感を生かすこと。切り干し大根がない場合は、生の大根でつくっても美味しいです。チャンジャはいつも大阪・鶴橋の韓国食材店から取り寄せていて、今回もこちらのものを使いました。美味しいチャンジャでつくると、格段に味わいがランクアップします。お酒はぜひ韓国の醸造酒を。ほのかな甘味の中に酸味が感じられるまろやかなマッコリがお薦めです。

チャンジャ切り干しのつくり方

材料材料 (4人分)

切り干し大根30g(乾燥)
A
・ チャンジャ120g
・ 醤油小さじ2
・ 胡麻油小さじ2
せりの葉適宜

1切り干し大根を戻す

切り干し大根はたっぷりの水に2分ほどつけて戻し、水をかえてさっと洗い、ぎゅっと水気を絞る。

切り干し大根を戻す

2混ぜる

ボウルに絞った切り干し大根をほぐしながら入れ、Aを加えてよく混ぜる。器に盛り、あればせりの葉をあしらう。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。