大原千鶴さんの「今宵のあて」
鮮度のよい秋さばに出会ったときにつくりたい「ごま味噌さば」

鮮度のよい秋さばに出会ったときにつくりたい「ごま味噌さば」

青背の魚はお酒のあてに欠かせない素材。旬の秋さばは煮ても焼いても美味しいですが、味噌や胡麻、生姜や青じそなどの香り豊かな調味料や薬味と合わせると、お酒がさらに進む一品になります。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、味噌と胡麻で味わう、さばのおつまみを教えていただきました。

ごま味噌の濃厚な味わいとひやおろしが、秋さばを引き立てます

鮮度のよい、いいさばに出会ったときに、ぜひつくっていただきたい一品です。酢〆のきずしほど時間がかからず、なめろうのような味つけです。通常のなめろうは、魚の身を包丁でたたくように刻んでなめらかにしますが、これは切り身を使っているので、お刺身のアレンジ版で、和えもののような仕立てです。

何より大事なのは、新鮮なさばを使うこと。そして、すぐさまさばの下処理をしてください。三枚におろしたさばを使い、皮は頭のほうから少しずつむき、小骨は指で探りながら骨抜きで抜きます。これを薄く切って両面に塩をふって冷蔵庫に置き、出てきた水気を丁寧に拭き取って、魚臭さを除きます。さばにふる塩は、焼き塩のようなサラサラの塩がお薦めです。

味噌はお好みですが、ここでは麹味噌を使っています。柚子の果汁と水で溶きのばした中にさばを入れ、青じそ、生姜、すり胡麻と合わせます。味噌の味わいと野菜や胡麻の豊かな香りが食欲を誘い、お酒のあてにぴったり。日本酒全般に合いますが、この時季ならば、ひと夏かけて熟成されたコクのあるひやおろしがお薦めです。旬の魚と旬のお酒で、秋の味覚をお楽しみください。

ごま味噌さばのつくり方

材料材料 (2人分)

さば1/2身(120g)
小さじ1/4
A
・ 味噌大さじ1/2
・ 柚子果汁小さじ1
・ 水小さじ1
青じそ5枚
生姜5g
すり胡麻大さじ1(白)
青ねぎ少々

1下ごしらえ

さばは小骨と皮を取り除いて5mm幅に切る。バットに並べ、両面に塩をふって冷蔵庫で10分以上置き、出てきた水気を拭き取る。

下ごしらえ
下ごしらえ
下ごしらえ

2味噌を溶く

ボウルにAを入れてよく混ぜ、味噌を溶きのばす。

3和える

②に①とざく切りにした青じそ、みじん切りにした生姜、すり胡麻を加えてよく和える。器に盛り、小口切りにした青ねぎをふる。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。