シナモンの甘やかな香りと、ライムの爽やかさが魅力のさつまいものスープです。残暑の厳しい日には冷やして飲むのがお薦めです。肌寒くなってきたら温かくするとまた違った魅力があります。秋のおいしさをストレートに伝えてくれるレシピを堤人美さんに教えてもらいました。
自粛という言葉をまだそれほど聞かなかった頃は、いろいろなジャンルのお店を訪れては、仲間とテーブルを囲む日々を送っていた堤人美さん。
「今はなかなかできないけれど、わいわい食事をする時間が大好きなんです。勉強のために食べていたわけではないけれど、ほかの人の料理に刺激を受けることも多いですしね。当時は食いしん坊同士、おうちに集まることもしょっちゅうでした」
気の合う仲間ともなかなか会う機会がない状況ですが、それでも小ぢんまりと集まって、おいしいワインを飲んでおしゃべりする堤さんの姿はとても楽しそう。ふるまうお料理も手慣れたもので、今回は秋らしさ満載の7品がテーブルを彩りました。ライムとシナモンの香りが喉越しを爽やかにするスイートポテトスープに始まり、大根とハムの春巻、春菊のエチュベ、れんこんステーキ……。堤さんの調理は使う素材も少なく、とてもシンプルです。
「出来たての料理を出したいけれど、帰宅時間が定まらない家人だったんです。そうすると、帰宅後パッとつくれるものにしなくては、とレシピがそぎ落とされていきました」
簡単がうれしいのはもちろん、食材や味つけを厳選したことで、素材のよさが引き出されたお料理になっています。レシピを見るだけで味の想像がつきやすいのです。これも、堤さんの料理の魅力でしょう。
「もちろん、もう少し旨味を足したらもっとおいしいかな、ってことはありますよ。でも、レシピを提供する側としては、ちゃんとおいしければ、簡単なほうがつくる皆さんもうれしいんじゃないかな、って」
まずは自分のために、この週末に1、2品つくってみてはいかが?
さつまいも | 中1本(250g) |
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玉ねぎ | 1/2個 |
長ねぎ | 1/4本 |
A | |
・ 水 | 300ml(*) |
・ 牛乳 | 100ml |
・ 生クリーム | 100ml |
バター | 大さじ1 |
塩 | 小さじ1/3 |
胡椒 | 適量 |
ライムの皮 | 適量(すりおろし) |
シナモン | 適量 |
*水の代わりに鶏むね肉200gに塩小さじ1/3をすり込んで、セロリと水800mlで20分煮込んだスープを300ml使うと、よりおいしい。
さつまいもはさっと水に濡らしてアルミホイルに包み、170℃のオーブンで1時間ほど加熱、粗熱が取れたら、皮をむく。フードプロセッサーにかけられるよう、適当な大きさに切る。
玉ねぎは繊維に沿って薄切りに、長ねぎはごく薄い斜め切りにする。鍋にバターを熱し、玉ねぎと長ねぎをさっと弱火で炒める。塩と胡椒を加えて蓋をし、10分ほど蒸らし炒めにする。
2がしんなりしたら1とAを加えてひと煮立ちさせる。フードプロセッサーで撹拌し、なめらかになったら、再度ひと煮立ちさせる。
3を器に盛り、ライムの皮とシナモンをふる。冷たくしてもおいしいし、お好みで温かくしてもOK。
京都府出身。書籍や雑誌でレシピを紹介するほか、企業のレシピ開発や、CMの料理製作なども手がける。身近な食材にひと工夫を加え、シンプルながらセンスよく仕上げるレシピは幅広い世代に人気。近著に『暮らしが変わる!家に帰ってスグおいしいホットクックごはん』『旬を漬ける保存食』など。
※この記事の内容は、「四季dancyu 秋のレシピ」に掲載したものです。
文=椙下晴子 撮影・田村昌裕