うずらのゆで卵が7個超、コンビーフもむっちりと敷き詰めてボリューム満点!ランチに最適です。今回は好きが高じて、愛好家の倶楽部までつくってしまった「ホットサンド倶楽部」部長の大林千茱萸さんに、缶詰をテーマとしてそのとっておきのつくり方を習いました。
「ホットサンドに心得はありません。“考えるな、感じろ”の世界。しいて言えば見た目が味につながるということでしょうか」
大林千茱萸さんは、小学生でパンも具もホカホカのホットサンドのおいしさに目覚め、20年前からは自作でホットサンドの研究を重ね続けている。所有するホットサンドメーカーは約40台(!)。前日余ったおかずからステーキ、スパゲッティにたこ焼き。おはぎだって。ありとあらゆるものを挟んできた。その経験から生まれたのがこの言葉だ。「美しさ」というのは、パンに並んだ具材、そしてカットされた姿を指す。つまり、ホットサンドは無限に自由であるぶん、一に具の組み合わせ、二にその配置、三にどんなふうにカットするか、が最大の決め手。特に配置の仕方は、食感も大きく左右する。パンを“食べられる器”と捉え、異なる具を交互に盛ったり、ソースや薬味をあえてランダムに配置したり。強弱やアクセントをどうつけたいかを想像することが至極大事なのだ。では、缶詰ならどんな手があるのか? いざ、実践へ。
パンは8枚切りがつくりやすい。直火式なら「多すぎかも?」というぐらいが○。具もソースも縁までしっかり!
ベースのパンにフタのパンを重ね、手全体でゆっくり押す。器具にのせる前にまな板で密着させるのがポイント。
いよいよホットサンドメーカーへ。耳をしっかり押し込んで、隙間なくセットする。油やバターはひかなくてよい。
焼き始めで器具が温まっていなければ、片面3~4分、返して2~3分。温まっている場合は2分ほど短縮して焼く。
美しい断面にするためには、フタのパンに、点線をつけるように切る形に見当をつけておくのがポイント。
先に見当をつけた点線に合わせて、ザクッと一気に押し切る。長めの包丁が好ましく、前後に押し引きしないこと。
コンビーフは食べごたえがあって、おやつというよりは主菜となるホットサンドがつくれます。缶詰をあけたら、パンにのせる前にお皿の上などでほぐすと、具の合間に空気が入り、それが熱で温まって食感はエアリーに。断然おいしくなります」
主役級のボリュームとルックス!
それを堪能できるのは「英国スコッチエッグ風」のホットサンド。うずらの卵を上下から肉でサンドした中央部分の脂気のあるボリュームはもとより、縁までしっかり具材とソースをのせることで、耳まで飽きずに食べられる。
角食パン | 2枚(8枚切り) |
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★ 具 | |
・ コンビーフ | |
・ うずらのゆで卵 | 10個 |
★ 調味料 | |
・ ウスターソース | |
・ マスタード | |
・ 黒胡椒 |
ベースのパンとフタのパンの片面にマスタードを混ぜたウスターソースを塗る。
コンビーフをのせ、うずらのゆで卵を上下に3個、中央に4個並べ、真ん中のゾーンにはさらにコンビーフを盛る。
フタのパンのソースを塗った面に粗挽き黒胡椒をまんべんなくふり、1にかぶせて焼く。
フランス料理と国際儀礼のテーブルマナー講師。映画監督・大林宣彦氏を父にもち、自身も映画『100年ごはん』を監督・脚本。著書に『こんがり!ホットサンドレシピ100』、『ホットサンド倶楽部』(ともにシンコーミュージック・エンタテインメント)など。
※この記事の内容は、「技あり!dancyu缶詰」に掲載したものです。
文と構成:沼由美子 撮影:吉澤健太