食への愛が溢れるフランスの家庭料理
火にかけておくだけで出来るしみじみ美味しい"ポトフ"

火にかけておくだけで出来るしみじみ美味しい"ポトフ"

ポトフは、普段着の料理。肉と野菜を大きいまま、ゆっくりと火にかけておくだけで、スープと主菜がいっぺんに完成するので、忙しいときには大助かりのメニューです。フランスと深くかかわり、グランメゾンから家庭の料理まで広く精通しているサルボ恭子さんに、長く愛され続ける家庭料理を習いました。

“ポトフ”のつくり方

肉と野菜をゆっくりと火にかけておくだけで、前菜とメインが一度に完成。牛肉は大きな塊のまま煮ることで、縮みも少なく、ボリューム感が出ます。しみじみと味わいたい、気取らない家庭料理。

材料材料 (4人分)

牛バラ肉600g(塊(*1))
6g(肉の重量の1%)(肉用)
ポロねぎ1本(ポアロー、細め(*2))
にんじん1本
玉ねぎ1個
じゃがいも2個(メークイン)
セロリ1本
にんにく1片
★ ブーケガルニ
・ ポロねぎの緑の部分10cm×2枚
・ セロリの葉小1本
・ タイム4~5枝
・ ローリエ1枚
約2L(鍋の容量による)
約小さじ1
黒胡椒数粒分(粒、たたく)
結晶塩適量(フルール・ド・セル)
黒胡椒適量(仕上げ用)
フレンチマスタード少々

*1 牛バラ肉はサシが少ない輸入ものの赤身肉が最適。
*2 ポロねぎの代わりに太めの長ねぎや下仁田ねぎを使ってもよい。

1下準備

ポロねぎの緑の部分を切って広げ、セロリの葉、タイム、ローリエを芯にして巻き、たこ糸で縛ってブーケガルニをつくっておく。

2牛肉を縛る

牛肉に塩をしっかりとまぶして冷蔵庫に一晩おき、たこ糸できつめに縛る。

牛肉を縛る

3下茹でする

2を鍋に入れ、かぶるくらいの水(分量外)を入れて中火にかける。沸騰してアクが浮いてきたら、ザルにあげて肉をよく洗う。

下茹でする

4肉を煮る

鍋に肉を戻し入れ、水とブーケガルニ、塩、胡椒を入れて中火にかける。沸騰したら火を弱め、ゆらゆらと静かに沸いているくらいの火加減にして蓋をし、アクが出たらときどき取りながら1時間ほど煮る。

肉を煮る

5野菜をカットする

ポロねぎは緑と白の境目あたりに横に深く切り込みを入れ、流水でよく洗って中に入り込んでいる土を落とす。にんじん、玉ねぎ、じ ゃがいも、にんにくは皮をむいて丸ごと使う。セロリは長ければ鍋に入る大きさに切る。

野菜をカットする

6煮込む

牛肉を1時間ほど煮て、8割がたやわらかくなってきたら、にんじんを入れる。蓋をして10分ほど煮たら、4のほかの野菜をすべて入れ、蓋をしてさらに30分ほど煮て火を止める。

煮込む

7味をととのえる

煮汁の味をみて、足りなければ塩(分量外)でととのえる。すぐに食べられるが、冷蔵庫で一晩冷やし、表面に固まった脂を取り除くと、すっきりとした味になる。

味をととのえる

8仕上げ

煮上がった肉と野菜をくずれないようにそっと取り出して大皿に盛り、乾かないようにラップなどをかけ保温しておく。まずはスープだけを器に注ぎ、黒胡椒をふって前菜にする。肉と野菜は主菜として、食卓で適当に切り分け、結晶塩やマスタードをつけて食べる。

完成
スープ

教える人

サルボ恭子 料理家

サルボ恭子 料理家

料理家の叔母に師事したのち、渡仏。パリの名門ホテル「オテル・ド・クリヨン」の厨房に勤務。現在は東京で料理教室を主宰。フランス家庭料理を軸に、さまざまなテーマで活動する。著書も多数。

文:鹿野真砂美 写真:宗田育子

この記事は四季dancyu「春のキッチン」に掲載したものです。

四季dancyu「春のキッチン」
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A4変型判(120頁)
2021年3月13日発売/1100円(税込み)
鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。