食への愛が溢れるフランスの家庭料理
"貧乏人のキャビア"と呼ばれるフランスの定番惣菜"キャビア・ド・オーベルジーヌ"

"貧乏人のキャビア"と呼ばれるフランスの定番惣菜"キャビア・ド・オーベルジーヌ"

なすをキャビアに見立てた定番のお惣菜です。別名“貧乏人のキャビア”とも呼ばれ、焼きなすに黒オリーブの熟れた塩気が混ざり合い、ワインがすすみます。フランスと深くかかわり、グランメゾンから家庭の料理まで広く精通しているサルボ恭子さんに、長く愛され続ける家庭料理を習いました。

“キャビア・ド・オーベルジーヌ”のつくり方

夕食前のひととき、家族や友人たちと一緒に、軽いおつまみとワインで過ごすアペロの時間が、フランス人は大好き。気軽な集まりのときなどは、延々とアペロだけで終わることもあります。おつまみは、シャルキュトリーで買ってきたハムやテリーヌで簡単にすませたり、つくる場合もささっとできるものが中心。
フレッシュチーズにハーブやナッツを混ぜたパテ、なすのディップにパンを添えたり、ちょっと時間があればコロッケなど温かいスナックも喜ばれます。

材料材料 (2~3人分)

なす2個
にんにく1/2片
黒オリーブ55g(約18個(*))
EXVオリーブオイル大さじ1

*黒オリーブは好みのものを。ここでは種ありのギリシャ風の塩漬けを使用。水煮タイプより香りや味が濃い。

1なすとにんにくに火を通す

なすは楊枝などで皮に数カ所、穴をあける。にんにくは皮をむいてアルミホイルに包む。オーブントースターになすとにんにくを入れて15分ほど加熱。なすの皮にしわが寄り、箸でつかむと凹む程度にやわらかく火が通ったら取り出し、粗熱を取る。

2細かく刻む

1のなすの皮をむき、へたを取り除いたら包丁で細かく刻む。黒オリーブは種を取り除いて包丁で細かく刻む。なすと黒オリーブ、1のにんにくを一緒にし、包丁でさらに細かくたたき合わせてボウルに入れる。

細かく刻む
フードプロセッサーを使用してもいいが、口当たりに少し粒感を残すように仕上げたいので、包丁でたたくのがおすすめ。

3仕上げ

2にEXVオリーブオイルを混ぜ、味をみて足りないようなら塩(材料外)を加えてととのえる。容器に詰めて表面をラップで覆い、冷蔵庫で1時間以上冷やす。日持ちは冷蔵庫で5~6日ほど。

完成

教える人

サルボ恭子 料理家

サルボ恭子 料理家

料理家の叔母に師事したのち、渡仏。パリの名門ホテル「オテル・ド・クリヨン」の厨房に勤務。現在は東京で料理教室を主宰。フランス家庭料理を軸に、さまざまなテーマで活動する。著書も多数。

文:鹿野真砂美 写真:宗田育子

この記事は四季dancyu「春のキッチン」に掲載したものです。

四季dancyu「春のキッチン」
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A4変型判(120頁)
2021年3月13日発売/1100円(税込み)
鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。