パリッとした皮をかじると、閉じ込められていた一気に香りがはじけて広がります。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
小山剛さん作の立ち上がりのない板漆皿には、日常的ではないという特別感が感じられます。和菓子やチーズなどにも合うけれど、細く巻いた春巻きを斜めにのせ、塩をぱらりとふると、余白がぐんと生きてきます。かじるとふわっと香る繊細な香りは花椒(ホワジャオ)油。春巻きは、皮の中に香りを閉じ込め、パリッとした食感がアクセントになる料理です。香りの強い椎茸や舞茸でつくってもおいしいですよ。
えのき茸 | 100g(1/2袋) |
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春巻きの皮 | 4枚 |
花椒油 | 大さじ1/2(またはラー油) |
塩 | ひとつまみ |
花椒油のガラ | 4つまみ(なければ粗く刻んだ黒胡椒8粒) |
水溶き小麦粉 | 少々(薄力粉と水を同量で少量ずつ溶いておく) |
揚げ油 | 適量 |
塩 | 少々(仕上げ用) |
★ 花椒油 | |
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植物油 | 100ml |
玉ねぎ | 100g(繊維と平行に薄切り) |
花椒 | 15g(粒) |
植物油に玉ねぎと花椒を入れ、中弱火にかける。玉ねぎが色づくまで、ときどき混ぜながら加熱する。熱いうちに清潔な瓶に入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で保存。玉ねぎの甘味と旨味、花椒の香りが立った万能オイル。炒め物やゆで野菜などにさっとかけても美味。保存は冷蔵庫で2週間程度。
えのきは根元を落とし、長さ4~5cmに切る。
えのきと花椒油、塩を混ぜ合わせる。
春巻きの皮に2を1/4量ずつと花椒油のガラひとつまみをのせ、細めに巻く。巻き終わりに水溶き小麦粉をつけて留める。
170℃に熱した油に入れ、ときどき返しながら1~2分からりと揚げる。網にあげ、油をよくきる。粒が細かい塩を全体にパラパラとふる。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
文:藤井志織 写真:伊藤達也