大原千鶴さんの「今宵のあて」
とにかく日本酒が進む「サバ缶鍋」

とにかく日本酒が進む「サバ缶鍋」

サバに豆腐とおろしにんにくを合わせて、薬味を添えるだけの手軽な“小鍋料理”的なおつまみです。日本酒とご一緒に。京都の料理研究家・大原千鶴さんは、お酒に合う季節のおつまみをつくります。この連載では、お酒を愛する大原さんがご自分でも「このあてでこんなお酒を呑みたい」と思う、季節のおつまみを紹介します。

山廃の日本酒と合わせるのがお薦め

サバ缶は、サバを丸ごと調理しているので味つけ不要。骨までいただけ、無駄がなく、とってもSDGsな食べ物です。保存食や非常食としてはもちろんのこと、家庭料理のお助け時短食材で、常備しておくととても便利です。

つくり方はいたって簡単で、サバの身を鍋に移して豆腐とおろしたにんにくを加えて火にかけるだけ。そのまま食べられるサバだから温めるだけでよく、豆腐を崩しながらたっぷりの薬味を加え、味わいます。

お酒は山廃がお薦め。もしくは純米酒で、温度はあまり冷たくなく、常温かぬる燗がいいかなと思います。また、今回は水煮を使いましたが、醤油煮や味噌煮でつくってもよく、味をみて足りなければ醤油を少し足し、お好みの味つけにしてお楽しみください。大きめの缶のほうがつくりやすく、サケ缶でつくっても美味しいですよ。

材料材料 (1~2人分)

サバ缶1缶(190g)(水煮)
豆腐適量(40~60g)
A
・ 醤油小さじ1
・ おろしにんにく少々
★ 薬味
・ 青ねぎ少々(小口切り)
・ おろし生姜少々
・ 実山椒少々(水煮)
・ 粉唐辛子少々

1下ごしらえ

豆腐を食べやすい大きさに切る。

2炊く

缶を開けて鍋に移し、①とAを入れ、フツフツ煮立つまで炊く。

3仕上げ

鍋を火からおろし、具材を缶に戻す。好みの薬味をのせ、崩しながらいただく。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。