世界で最も美食が楽しめる国のひとつとされているペルー。アボカドの主要産地でもあるペルーのエッセンスを取り入れた、東京・新橋の本格ペルー料理「荒井商店」のアボカド料理は、見た目にも美しく新鮮な驚きがあります。店主の荒井隆宏さんに、アボカドを使ったとっておきのペルー料理を習いました。
石灰分を含んだ土壌と、アマゾンの自然豊かなジャングル地帯。海岸線は延々3000kmも続き、その沖合では寒流と暖流が交差する。ペルーは食の宝庫といえるほど、豊かな地理条件に恵まれている国だ。
加えて、荒井隆宏さんが「文化の吹きだまり」と称するほど、多様な民族とそれぞれの民族が大切にする食文化が交錯し、ペルー料理は生まれたといわれている。
「融合なんてきれいなものじゃなくて、もっとソウルフルな力強さを、ペルー料理には感じます。いいとこどりで生き残ってきた食文化ですよ」
そんなペルーでは、水がよくなかった時代の名残で生の野菜を食べる習慣がいまだに定着していない。だから、生のまま手軽に食べられ、値段も安くてお腹にたまるアボカドは、毎日の食生活には欠かせない"野菜"の意識で食べられているのだという。
「じゃがいもとアボカドが二大野菜です。じゃがいもはモサモサしてるけれど、アボカドはとろとろクリーミー。対極の食感とおいしさをもたらしてくれる素材です」
アボカドとフレッシュチーズ、パンがあれば、お腹いっぱいのサンドがすぐにつくれる。週末のパーティーでは、テケーニョにアボカドクリームをたっぷり添えて。レストランの前菜では山盛りサラダのパルタ・レジェーナが定番の一品で、見るも美しいカウサ・レジェーナも登場。ペルー料理の代表セビーチェの一品、ティラディートもアボカドがきらめいて美しい。これらのどの皿をとっても、数多の民族の食文化が皿の上で手と手を取り合っているかのようだ。
アボカド | 1/2個 |
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ズワイガニ | 60g(身をほぐしたもの) |
じゃがいも | 1個(*) |
塩 | ふたつまみ |
アヒ・アマリージョ | 小さじ1 |
レモン汁 | 小さじ1/2 |
小ねぎ | 大さじ1(小口切り) |
白胡椒 | 適量 |
ゆで卵のスライス | 2枚 |
黒オリーブ | 2粒 |
パセリ | 適量 |
オリーブオイル | 適量 |
マヨネーズ | 適量 |
オリーブペースト入りマヨネーズ | 適量 |
*じゃがいもは黄爵(とうや)という品種を推奨。サラサラとした食感に仕上げたいので、代用するときは男爵などがおすすめ。
アヒ・アマリージョはペルーでは定番の黄色い唐辛子のソース。あとからジワジワとくる辛さで旨味もあるが、この料理に使うのはじゃがいものピューレを黄色くおいしそうにするためでもある。
じゃがいもを皮つきのままゆで、皮をむいてマッシュして冷ます。塩、アヒ・アマリージョを加え、レモン汁とオリーブオイル小さじ1も加えてなめらかになるまで混ぜる。
カニとマヨネーズ大さじ1、小ねぎ、胡椒を和える。
アボカドは皮をむき、縦半分に切り、厚さ5mmにスライスする。
ラップの上に直径10cmのセルクルを置く。①のじゃがいもの半量を入れ、スプーンで平らにならす。
③のアボカドを平らに敷き詰める。
②のカニを入れて平らにならす。
じゃがいもの残り半量をのせ、スプーンでセルクルの縁ですり切って平らにする。
皿に⑦を置き、セルクルをはずす。上にゆで卵のスライス、黒オリーブを飾り、オリーブオイル適量をかける。皿にマヨネーズ適量、オリーブペースト入りマヨネーズを流し、刻んだパセリをふる。
1974年生まれ。「オテル・ドゥ・ミクニ」での修業などを経て、2003年にペルーに渡り、レストランで働きながら1年かけて各地の料理を見て回る。帰国後、2005年に「荒井商店」を開店し、ペルーの家庭料理や郷土料理を提供する。
文:横山せつ子 写真:宮濱祐美子
※この記事は 使えるdancyu「アボカド」に掲載したものです。