荻野恭子さんの冬のロシア家庭料理
カリッと香ばしくボリューミーな"肉入りじゃがいものパンケーキ"

カリッと香ばしくボリューミーな"肉入りじゃがいものパンケーキ"

ロシア料理ではじゃがいもが大活躍するとのこと。食べ応え抜群ですが、サワークリームの酸味でするっと食べられる主菜です。「現地に行って、自分の目で見て味わいたい!」好奇心をかき立てられた荻野さんが、ロシアで教わった家庭料理をご紹介します。

日常の主菜

サラダなどの前菜をいただいたら、次は温かい料理を。
とはいえ、毎日のことなので手のかかりすぎることはしません。肉入りじゃがいものパンケーキも、一見、大変そうに見えるけれど、スライサーなど道具をうまく使って、ささっと仕上げられます。中に挽き肉を入れずにじゃがいもだけでつくれば、前菜としても楽しめますよ。そして、ロシア料理に欠かせないのが漬物。
冬に入る前に、きのこやキャベツの塩水漬けをどっさりと仕込んでおくことで、冬場の野菜不足を解消するのです。スープやパスタにも乳酸発酵独特の深い味が加わって、しみじみおいしい。また、サバや鮭、ツナなどの缶詰を使った料理も、冬にはよく登場します。

手づくりサワークリーム

プレーンヨーグルトと生クリーム(乳脂肪分が40%以上のもの)を同量ずつ用意。ボウルにプレーンヨーグルトを入れ、ホイッパーでダマがなくなるまでよく混ぜたところへ、生クリームを少しずつ加えて混ぜていく。なめらかなホイップ状になれば完成。市販のものにくらべてコクがあり、酸味がおだやか。冷蔵庫で1週間程度保存できるので、つくっておくと便利。

手づくりサワークリーム

“肉入りじゃがいものパンケーキ”のつくり方

材料材料 (2人分)

生地
・ じゃがいも3個(正味500g)
・ 溶き卵1/2個分
・ 塩小さじ1/2
ナチンカ(フィリング)
・ 牛豚合い挽き肉150g
・ 玉ねぎ1/4個分(みじん切り)
・ にんにく1片分(みじん切り)
・ 溶き卵1/2個分
・ 塩小さじ1/2
・ 胡椒少々
植物油大さじ2
バター大さじ2(食塩不使用)
サワークリーム適量
レモン適量
イタリアンパセリ適量

1「ナチンカ」をつくる

ボウルにナチンカ(肉だね)の材料をすべて入れ、よく練る。

「ナチンカ」をつくる

2じゃがいもを卵と混ぜる

じゃがいもは皮をむいて、スライサーや鬼おろし器などでせん切り状にし、溶き卵と塩を入れて混ぜる。

火を通す

3焼く

フライパンに植物油とバターを入れて熱したところへ2の半量を二つに分けて入れる。薄くならしたら、その上に1を半量ずつのせる。

焼く

4火を通す

2の残りを半量ずつ、肉を覆うようにのせる。弱火~中火でゆっくりと焼く。

じゃがいもを卵と混ぜる

5仕上げ

底面がきつね色になったらひっくり返し、もう片面も焼く。途中でバター適量(分量外)を足すとさらに香ばしい。

6盛り付ける

器に盛ってサワークリーム、レモン、イタリアンパセリを添える。

完成
挽き肉をじゃがいもでサンドし、たっぷりのバターで焼き上げたボリューム満点の一皿。サワークリームと一緒に食べると、危険なほどするりと胃に収まります。じゃがいもは変色しやすいので、焼く直前にせん切りにして。

教える人

荻野恭子 料理研究家

荻野恭子 料理研究家

サロン・ド・キュイジーヌ主宰。世界各国の郷土料理を実際に現地で食べ、つくり、体験するのがライフワーク。特にロシア料理、食文化に造詣が深い。テレビ出演や著書も多数。

文:鹿野真砂美 写真:宗田育子

この記事は「四季dancyu 冬の台所」に掲載したものです。

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鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。