dancyu2021年2月号で掲載した東京・清澄白河「O2」の白菜醤油煮込みに加えて、もう一品、時間をかけなくてもつくれる絶品の白菜煮込みを習ってきました。ぜひ、寒い日につくって温まってください。
“煮込み”と聞くと、骨付きや塊の肉料理をイメージする人が多いと思います。時間をかけてコトコトと煮込めば煮込むほど肉は柔らかくなり、スープは極上に。達成感もひとしおです。ただですね、「そんな時間ないよ~」という人にぜひお薦めしたいのが“白菜煮込み”。野菜というだけで、肉好きはテンションが急降下かもしれませんが、淡泊な味わいの白菜がたったの5分煮込めばメインを張れるくらいの一品になると聞いたら、つくりたくなりませんか?
ご指南いただいたのは、中華料理界のホープ「O2」の大津光太郎さんです。具は潔く白菜のみ。まず「葉の部分は塩漬けや別の料理に使ってください」と言いながら、白菜を葉と白い軸の部分に分けていきます。というのも白菜は軸の部分が甘くて一番おいしいらしい。「仕上がりもきれいですよ」とニヤリと笑い、軸の部分を長細く切りそろえました。
煮込む前にねぎ油で生姜を炒めて香りと出します。そこに味の要である貝柱の水煮を加えて旨味を足し、あとは白菜を水で煮込むだけ。拍子抜けするほどあっけないのですが、生クリームを加えてとろみをつければ……鍋の中は白一色でまるで雪国。とろ~りと煮えた白菜から湯気が立ちのぼり、極めてシンプルな料理なのに「おおおお~っ」と歓声が上がります。あの不敵な笑みはこれだったのか! 器に盛りつければ、クリームシチュー顔負けの純白ですぞ。スープを入れたかのような深みのある味わいと、甘くて柔らかい白菜に、体も心もとろける。かくして白菜の煮込みはメイン料理になり得たのでありました。
白菜の軸 | 150g |
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生姜(みじん切り) | 1/3片((約3g)) |
貝柱の水煮(缶詰) | 40g |
A | |
・ 水 | 400ml |
・ 紹興酒 | 大さじ1 |
・ 塩 | 小さじ1弱 |
ねぎ油 | 大さじ1 |
生クリーム | 100ml |
水溶き片栗粉※ | 20ml |
※片栗粉を同量の水で溶いたもの。
白菜は軸の白い部分のみを使う。繊維に沿って10cm長さの細切りにする。
鍋にねぎ油を入れて弱火にかけ、生姜を炒める。香りが立ったら貝柱の水煮を汁ごと加え、炒め合わせる。
2にAを加え、1の白菜の軸を入れる。蓋をしてひと煮立ちさせたら弱火にし、白菜が半透明になるまで約5分煮込む。
火を止めて生クリームと水溶き片栗粉を加え、軽く混ぜる。再び中火にかけ、混ぜ合わせながら好みのとろみをつける。
器に盛りつけて完成。
写真:キッチンミノル 文:石出和香子