dancyuな文筆家・加藤ジャンプさんにとってのdancyu偏愛レシピは、料理研究家・枝元なほみさんに習った”酔拳つまみ”の一品だったそう。dancyu1月号「おいしいレシピ100」で掲載した「dancyuな人たちの偏愛レシピ」で登場した8品のレシピを1日ずつご紹介します。
エダモン。親しい人はそう呼ぶという枝元なほみさん(小心者の私には、そう呼ぶにはハードルが高い)。ご一緒したページでは“酔拳つまみスペシャリスト”となっていました。で、実際の枝元さん、本当に飲むほどに手際がさえわたるのです。愉快なお話が心地よい小川の流れのようにつづくなか、あれよあれよと矢継ぎ早に登場する一皿一皿が大傑作。もうね、こんな酔拳なら一生ボッコボコにされていたい、フルボッコ上等ですよ。
そんな枝元さんの酔拳ツマミのなかでも、とりわけ印象深かった、必殺の一皿にして一口で昇天したのが“豆腐の春巻き”。旨いものは、その名の響きだけでうっとりしますが、今、コレ書いてて思わず声に出しただけで大変なことになってます。レシピは簡潔、水気をふきとった木綿豆腐を生ハムと大葉で包み、春巻きの皮で巻いて揚げたら出来上がり。当たり前の材料が一緒になって旨さを高らかに唄いあげる、このつまみは、世界平和すらイメージさせるのです。
お会いする前から、その素敵なたたずまい、お料理、活動、猫好きなところからなにもかも、スーパー大ファンでしたが、これを頂いた日から、僕は完全にエダモン信者になりました。そして、今日も、いつか「エダモン」と呼べる日を夢見ながら枝元レシピを実践しているわけです。
木綿豆腐 | 1/2丁 |
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春巻きの皮 | 適量(ミニサイズ) |
生ハム | 適量 |
大葉 | 適量 |
春巻き用の糊 | 適量(小麦粉+水) |
揚げ油 | 適量 |
表面の水気を軽く拭き取った木綿豆腐を生ハムでくるむ。さらにそれを大葉で覆い、春巻き用の皮で包む。
小さめの揚げ鍋にひたひたになるくらいの揚げ油を入れ、1をジーッと揚げる。おいしそうなきつね色になったら出来上がり。
漫画家・西原理恵子さんと繰り広げる毎日新聞のデジタル版連載「おかん飯」を、2013年から5年間続け、そこでも酔拳レシピが炸裂していた。dancyu30年間で料理を教わった回数は、平松洋子さんと並んで15回(!)とトップ。
文:加藤ジャンプ 撮影:宮濱祐美子