今日、なにつくる?
果物のコンフィチュール(砂糖煮)に欠かせないペクチンのつくり方|秋を彩る手づくりコンフィチュール①

果物のコンフィチュール(砂糖煮)に欠かせないペクチンのつくり方|秋を彩る手づくりコンフィチュール①

コンフィチュールとはジャムのフランス語版ではありますが、一般的なジャムとはちょっと違います。さまざまなフルーツをミックスしたり、アルコールを加えたりと大人の味わいが楽しめます。自由が丘の名店「パリセヴェイユ」の金子シェフにつくり方を習いました。

コンフィチュールがわかる!つくれる!

ここ10年で、一気にその呼び名が広まってきた“コンフィチュール”。フルーツの香り高い味わいは魅惑的で、スパイスやアルコールを組み合わせたものは、まさに大人の味。単独フルーツでつくる甘くて濃い、かつてのジャムとは違う。東京・自由が丘の「パリセヴェイユ」では、そんな個性的なコンフィチュールに出会える。たとえば“いちじくと白ワイン”“りんごとビールとくるみ”。味を想像するだけで、ワクワクする。
「料理の発想から香辛料やアルコールを生かした美味しさを、追求しています」と語るのは、オーナーシェフの金子美明さん。パリ修業時代からコンフィチュールづくりに目覚め、本格的に取り組んで11年になるという。素材使いは実に独創的で、その美味しさにぞっこんとなる。
「出来上がりをイメージすることが肝心。果肉を残すか、ペースト状にするか。フルーツの特性によって、切り方や煮方も変えます。形を残したい場合は前日から火入れを」。こだわりが満載だ。

Q1.コンフィチュールって何?

A.英語の“ジャム”をフランス語では“コンフィチュール”という。単純に呼び方の違いはあるが、ジャムは押しつぶし、ぎっしり凝固した形状を意味する。一方、コンフィチュールは砂糖や酢、油に漬け込むフランス語のコンフィから派生した言葉で、果物、果汁を砂糖煮にしたものだ。最近では、従来の保存食とは異なり、よりフルーティーさを強調したもの、いろいろな素材を組み合わせたミックスジャムを、コンフィチュールと呼ぶ傾向もある。

Q2.どんな道具でつくるの?

A.果物の酸に強い材質の道具を使うのが基本。金子シェフは銅鍋を使用しているが、家庭でつくるなら、琺瑯かステンレス素材のものを。時間をかけて煮詰めるので、直径が大きく、深めで厚いものがベスト。ほかに、保存瓶、木ベラやゴムベラ、アク取り、泡立て器、横口タイプのレードル。口径の大きい穀物用の漏斗があれば、瓶に移すときに口が汚れずに便利。
道具

Q3.すべての果物でつくれるの?

A.その時季の旬の果物でつくるのが一番。ただし、日本の果実は水っぽいものがあり、産地や品質により不向きなものも。秋は洋梨やいちじく、冬から春はりんごやいちご、初夏はブルーベリーや桃、杏、プラムなどがお薦め。通年、手に入りやすい果物では、ペクチンを多く含む柑橘類のオレンジやバナナも適している。
果物

Q4.コンフィチュールの保存法は?

A.清潔な瓶で保存すること。洗剤で洗って自然乾燥させた瓶に、つくりたての熱いコンフィチュールを、口から5mmほどあけて注ぐ。このとき口一杯まで注ぐと、空気の入るスペースがなくなり、真空になりにくいので注意。瓶の口についたコンフィチュールは、食用のアルコールをたっぷり含んだキッチンペーパーで必ず拭くこと。蓋をきっちりと閉めて粗熱を取る。長期保存の場合は、さらに煮沸を。鍋に布巾を敷いて瓶を並べ、蓋の上まで水を注ぐ。中火で沸騰させ、そのまま約18分加熱。瓶の中心の温度が約85℃になり煮沸殺菌が完了。開封しなければ、常温で約8カ月保存可能。開封後はどちらも冷蔵庫で保存し、3~4週間で食べ切るようにする。
保存法
保存法

Q5.パンに塗る以外に、どんな食べ方があるの?

A.ベリー系や柑橘系のコンフィチュールを炭酸水で割ると、即席ジュースに。意外に塩気の強い食材との相性もよく、バターを塗ったバゲットに生ハムやカマンベールチーズを並べ、いちじくのコンフィチュールをのせれば、ワインの即席おつまみになる。フロマージュ・ブランやプレーンヨーグルトに混ぜて食べるのもお薦め。料理では、たとえばパイナップルのコンフィチュールをポークソテーのソース代わりとしても使える。
いちじくのコンフィチュール

Q6.とろみのつくり方は?

A.とろみは果物に含まれるペクチンによるもの。“凝結”を意味するギリシャ語に由来し、コンフィチュールの粘度を高める働きをする。果物により含有量は異なり、いちじく、オレンジ、カシスは比較的多い。とろみが弱い場合は、市販のジャム用のペクチンを加えて調整する。手づくりもできるので、ぜひ挑戦を。りんごを皮と芯まで使った、シェフ特製のペクチンを紹介しよう。

りんごの自家製ペクチンのつくり方

材料材料 (つくりやすい分量)

りんご500g
500g
グラニュー糖265g
レモン汁50g

1りんごを切る

皮付きのりんごを縦半分、さらに4等分する。

りんごを切る
ポイントは皮ごと使うこと。りんごのペクチンは、皮と実の間に多く含まれている

2煮る

鍋にりんごと水を入れ、落とし蓋をして中火で約30分煮る。

煮る

3漉す

煮汁ごと漉し器(目の細かいザルでも可)で漉す。このとき、果肉をつぶさないように、軽くレードルで押さえながら搾る。約2カップ分とれる。

4混ぜながら煮る

別の鍋に、①の果汁、グラニュー糖、レモン汁を入れて、途中ヘラで時々混ぜながら、細かい泡が立つまで、強火で約20分煮て完成。冷凍庫で約1年保存可能。

混ぜながら煮る
混ぜながら煮る

教える人

金子 美明

金子 美明

15歳で池袋「ルノートル」を皮切りに日本、パリの名店を経て2003年に東京・自由が丘に「パリセヴェイユ」をオープン。昨年はフランス・ヴェルサイユに「オー・シャン・デュ・コック」を開き、多忙な日々を過す。

外観

店舗情報店舗情報

パリセヴェイユ
  • 【住所】東京都目黒区自由が丘2-14-5館山ビル1階
  • 【電話番号】03-5731-3230
  • 【営業時間】10:30~19:30
  • 【定休日】無休
  • 【アクセス】東急東横線・大井町線「自由が丘駅」より3分

文:村山なおこ 写真:馬場敬子

※この記事の内容はdancyu2014年10月号に掲載したものです。