秋が深まり、かぼちゃのおいしさも深まる季節。フードコンサルタントの村上智華さんが、甘~いかぼちゃの良さをぐんと引き出す煮物を教えてくれました。甘いけれど重くならず、醤油の香りがふわりと香る軽快なおいしさです!
「かぼちゃは、収穫後からはじまる味の変化に合わせて調理を楽しめる野菜」と、フードコンサルタントの村上智華さん。
収穫直後は甘くはないがホクホクした粉質が醍醐味。そして時間が経つごとにでんぷん質が糖化し、甘味が増してしっとりした食感へと質が変わるのだという。
第一回は「蒸しかぼちゃのメイプルシロップがけ」、第二回は「かぼちゃの素揚げ」というでんぷん質のホクホクしたかぼちゃのレシピを披露したが、秋が深まった今は、甘くなったかぼちゃが多く出回る時期。ということで今回は、甘いかぼちゃの魅力を生かして大人っぽく仕上げる、村上さん流の煮物をご紹介。
かぼちゃはまず最初に、砂糖だけをキャラメリゼするように煮からめるのがコツだという。その後に調味料を加えるのだが、そこでの煮方にも一家言あり。「煮る要領は煮魚と一緒。ぶくぶくと泡が立つ強めの火加減で責め立てるように煮てくださいね。そうすれば短時間でふっくら仕上がります」
醤油は煮上がる直前に少量たらし、表面に香りをまとわせるだけにするのもポイントだ。甘いけれど甘ったるくなく、軽やかで香ばしい煮物は、かぼちゃの持ち味全開!
かぼちゃ | 600g |
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A | |
・ 味醂 | 大さじ1 |
・ 酒 | 60mL |
・ 水 | 60mL |
砂糖 | 大さじ2 |
醤油 | 小さじ2 |
かぼちゃは種とワタをとり、3×4cmくらいの食べごたえあるサイズに切る。
中華鍋かフライパンにかぼちゃの皮を下にして並べ、砂糖大さじ1を満遍なくふる。15分ほど置いて余分な水分を出す。
中火にかけて、残りの砂糖大さじ1を、かぼちゃの隙間からフライパンの上に加える。さらに砂糖の上に水大さじ1(分量外)を加えてふつふつさせ、キャラメリゼするイメージでしばらく加熱する。
香ばしい香りが立ってきたら、Aを上から順に加える。クッキングペーパーの中央に切り込みを入れて穴を開けて落とし蓋をし、吹きこぼれ防止のために少しすき間をあけて鍋の蓋をする。沸騰したら、ぶくぶく泡立つ火加減で10分煮る。
鍋の蓋だけ取り、煮汁がなくなりそうになったら水少量を足し、竹串がすっと刺さる柔らかさになるまで煮る。
クッキングペーパーを外して醤油を鍋底に加える。再びキッチンペーパーをかぶせ、煮汁がぶくぶくとかぼちゃにまわるようひと煮立ちさせ、かぼちゃの表面に醤油をうっすらまとわせる。
北海道の農場で約18年間、個人客から高品質なスーパーマーケット、三ツ星レストランまで多くの取引きを経験。消費者向けのレシピを多数開発するほか、一人一人のシェフの好みや調理法にあった食材の提供をするなど、シェフからの人望も厚い。2022年、フードコンサルタントとして独立。
文:安井洋子 撮影:工藤睦子