おにぎりというと古来より日本人のお弁当代表格。ですが、忙しい時に手っ取り早く食べられるからと「妥協」でおにぎりを食べていませんか?そんなおにぎりのイメージを吹き飛ばすご馳走おにぎりをオカズデザインのお二人に習いました!
昼のおにぎり、それは多くの場合、手っ取り早く腹を満たすためにある。ヒマがない、場所がない、場合によっちゃ箸がない。忙しすぎる働き人がコンビニおにぎりを手に取る表情は、どこかさみしげ。
いーやいや、とオカズデザインの二人は首を横に振る。目のつけどころをでんぐり返して、おにぎりのもつ、大いなるポテンシャルに目を向けてほしい。おにぎりは、ただのコンビニ食ではなく、古今東西漏れなく人々に愛され続けてきた“ポータブル完全食”であるということを。おかずをご飯でくるむという、その取り柄をしっかり理解し、とことん研究し、たっぷり手間暇かけようじゃないか。そうすれば、「高が、されど」じゃないけれど、頬張った瞬間ニカッと笑う、立派なご馳走になるのだから、と。
炊きたてのご飯 | 100g |
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焼き海苔 | 1枚 |
★ 筋子の味噌漬け | (つくりやすい分量) |
・ 生筋子 | 1腹 |
・ 塩水 | 2L(水2Lに塩大さじ1を溶かし、冷蔵庫で冷やす) |
A | |
・ 味噌 | 850g(米麹) |
・ 白味噌 | 200g |
・ 粗糖 | 40g |
・ 味醂 | 90ml(アルコール分を軽くとばし粗熱を取ったもの) |
・ 淡口醤油 | 20ml |
ボウルに塩水の半量を入れ、筋子全体をやさしく泳がせるように洗う。黒い筋になっている血管を、竹串で押し出すようにして血抜きをする。細かい血管は丁寧に取り、ザルに上げる。
残りの塩水をボウルに入れ、再び筋子を入れる。ばらさないように、指で裂け目をやさしく扱いながら開いていく。汚れがあれば取り除き、ザルに上げて水気をよくきり、キッチンペーパーに筋子を広げて置き、そっと包む。
味噌床の材料Aを合わせて密閉容器にその半量を入れる。包んだ筋子を置き、残りの味噌床を入れて平らに均し漬け込む。1~3日経って好みの塩加減になったら、筋子を取り出す。ラップでぴったり包み、一日ねかせて味をなじませる。
手に塩水(分量外)をつけて、筋子15gを具に、ご飯を三角にむすび、海苔を巻く。具は皿に個数分、あらかじめ取り出しておくと便利。
吉岡秀治・知子夫妻が結成した、料理とデザインのチーム。NHK連続テレビ小説「てっぱん」や、映画『食堂かたつむり』での料理監修をはじめ、“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに多方面で活躍。著書に、新刊の『マリネ』(主婦と生活社)ほか多数。
文:山村光春 写真:上山知代子
※この記事の内容はdancyu2014年11月号に掲載したものです。