人気店の味を家で再現するスパイスのヒミツ、教えます。三軒茶屋のインド料理店「シバカリーワラ」に習う、タンドール料理。今晩のおかずにも、ビールのつまみにも、バーベキューの主役にもぴったりな家タンドーリ!ぜひつくってみてください。
ヨーグルトにカレー粉や塩を適当に加えて混ぜ、鶏肉を漬け込んで焼く。決してマズいわけじゃないけれど、家でつくるタンドーリチキンなんて、まあ、こんなものだろうという味。けれど思う。プロのそれをひとたび味わってしまうと、どうにかして家でつくれないものか、と。全国のカレーマニアが熱視線を送る「シバカリーワラ」の店主、山登伸介さんに教えを請うと、二つ返事で引き受けてくれた。
冒頭のタンドーリチキン「もどき」と何が決定的に違うかといえば、味の要となる「マサラ」。カレー粉ではなく、スパイスを調合し、理想の色や香りに仕上げる。とはいえ、スパイスを何十種類も使うのではなく、山登さんは5種を厳選。
香りの柱を司るクミンとコリアンダー、最初に鼻に抜ける贅沢な風味のガラムマサラ。パプリカパウダーは赤い色出しに、レッドチリパウダーは辛味づけに使う。これらのスパイスと鶏肉を繋ぐのがヨーグルト。「食材にマサラを密着させ、なめらかな口当たりにするためにも、ヨーグルトの水きりには時間をかけてくださいね」。
焼く前に、鶏肉にマサラを余さず塗りたくる。「タンドーリチキンとは、マサラで鶏肉をおいしく食べる料理です」という山登さんの言葉が、鶏肉を噛みしめるほどに実感できる。鶏肉の旨味とマサラが口の中で混ざり合って初めて味が完成する料理なのだ。店の味はマサラで決まる。人気店のマサラをマスターして、「もどき」ではない「ホンモノ」を目指そう!
「タンドール窯で焼いたチキンです。タンドールとは鶏肉やナンなどを焼くための、円筒形の窯のこと(店のはセラミック製)。シークという串に鶏肉を刺し、約300℃に熱したタンドールに入れ、蓋をして焼きます。じんわり、しっかり火が入るんですよ」。
「魚焼きグリルでも焼けますよ。タンドール窯は遠赤外線などの輻射熱で食材に火を通しますが、実は魚焼きグリルも同じ方法で加熱する調理器具。つまり、日本の家庭でも十分おいしく焼けます」。
「ヨーグルトとスパイスでつくる調味料“赤のマサラ”があれば、誰でも簡単にできますよ。赤のマサラとは、インドで最もポピュラーな“タンドーリチキンマサラ”のこと。五つのスパイスとヨーグルトを混ぜるだけで簡単にできます」。
★ パウダースパイス | |
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・ パプリカパウダー | 大さじ1と1/2 |
・ レッドチリパウダー | 大さじ1/3 |
・ クミンパウダー | 大さじ1/2 |
・ コリアンダーパウダー | 大さじ1/2 |
・ ガラムマサラ | 大さじ1/2 |
おろしにんにく | 小さじ2 |
おろし生姜 | 小さじ1 |
塩 | 小さじ2/3 |
プレーンヨーグルト | 120g(水気をきった状態。無糖) |
サラダ油 | 大さじ3 |
ボウル、ザル、さらしの順に重ねてヨーグルト(大1パック、450g)を包み、冷蔵室で4~5時間水きりし、200g以下にする。
すべての材料をボウルに入れ、スパイスのダマが残らないように、泡立て器でしっかり混ぜる。
鶏もも肉 | 1枚(約250g) |
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レモン汁 | 大さじ1 |
赤のマサラ | 全量 |
溶かしバター | 大さじ2 |
香菜 | 好みの量(刻む) |
鶏肉は皮を取り、5等分に切る。レモン汁をもみ込み、冷蔵庫に30分ほど置く。レモン汁でマリネするひと手間で、肉の臭みを取るのが山登流。
ボウルに1の鶏肉と赤のマサラを入れ、手で軽くもみ込む。ボウルにラップをかけ、冷蔵庫で一晩ほどねかせる。時間がないときは4時間ねかせればOK。
魚焼きグリルの網に2を取り出して並べ、残 った赤のマサラを上面に満遍なく塗る。
中火から強火で9分焼き、上下を返して4分焼く(片面焼きグリルの場合。両面焼きグリルなら、上下強火で12~13分焼く)。焼き上がる直前に表面に溶かしバターを塗る。これで香ばしい焼き色がつき、ジューシーに仕上がる。
皿に4と香菜をのせ、好みでチャートマサラをふりかけて、グリーンチャトニを添える。
アパレル業界から飲食の世界へ転身。エスニック料理やカレーの移動販売、銀座のインド料理専門店「グルガオン」を経て、2013年に「シバカリ ーワラ」をオープン。現在では、お客が引きも切らず訪れる超人気店に。
文:佐々木香織 写真:衛藤キヨコ
※この記事の内容はdancyu2016年7月号に掲載したものです。