細かくした素材にだし汁を加えて炒り付けた沖縄料理イリチー。今回は昆布を使ったイリチーです。海藻がたっぷり食べられ、お弁当にもつくり置きにも使える万能おかずです。
沖縄は昆布の消費量も、伝統的にかなり多いそうです。昆布をだしではなく、野菜感覚の素材として食べるのが一般的で、豚肉や油との相性がいいのが特徴です。北海道産で若い時期に採った「棹前(さおまえ)昆布」を細かく刻んだものは、薄いため早く戻って便利。残っただし昆布を使ってもよいです。
すき昆布 | 30~40g(昆布のせん切り) |
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豚だし | 2~3カップ |
サラダ油 | 適宜 |
塩 | 適宜 |
醤油 | 適宜 |
昆布を水に浸して戻し、洗って水気をきる(ここで一度ゆでると柔らかくなる)。
フライパンに油をひいて、昆布を炒める。水気がなく「干からびた」ような状態になったら、豚だしを半量程度加えて煮る。
塩と醤油で味つけする。途中で水分がなくなってきたら、残りの豚だしを、様子を見ながら加える。長く煮るほど「アジクーター」(味がしみておいしいこと)になる。昆布は水で戻すと、約10倍のかさになる。かまぼこやちくわ、干し椎茸などを加えてもおいしい。できた昆布イリチーは小分けにして冷凍保存可能。
京都・太秦で沖縄料理店を営む実方(じつかた)藤男さんと大道寺ちはるさん。
21年前に沖縄・壺屋で店を始める以前は、実方さんは執筆業、大道寺さんは校正業とまったく違う畑からの転身。根っからの料理人ではないからこそ、文献を徹底的に調べ、緻密に試作を重ねて、数々の沖縄伝統料理を復活させてきた。
写真:東谷幸一 文:里見美香
※この記事の内容はdancyu2015年9月号に掲載したものです。