踊り出したくなるほど美味しい沖縄料理
爽快な苦味と香ばしさが魅力の"ゴーヤーちゃんぷる〜"

爽快な苦味と香ばしさが魅力の"ゴーヤーちゃんぷる〜"

沖縄料理といえばゴーヤーちゃんぷる~!京都・太秦(うずまさ)にある「にんじん食堂うずまさ」のちゃんぷる~は、普通とは一味違います。文献を紐解いて探求したレシピは簡単で、踊り出すほど美味しくできます。

驚異の二層式

えっ!これがゴーヤーちゃんぷる~?と写真を見て驚く方が多いことでしょう。よく見る姿とは違うけれど、そうです!これは誰でもつくれる、目からウロコのおいしいゴーヤーちゃんぷる~なのです。
構成要素はゴーヤー、豆腐、卵、鰹節と、いたって普通。ポーク(ランチョンミート)も豚肉も入れず、味つけは塩のみ……と超シンプル。でもビックリなのは、このちゃんぷる~が「ゴーヤー&卵の黄身」「豆腐&卵の白身」という二層構造になっていることです。そのほか、ゴーヤーは見慣れたアーチ形でなく短冊形、豆腐はちぎらず包丁で切る……など、これまでの常識をくつがえす点がいろいろあります。
食べてみると、焼いた豆腐の香ばしさ、ゴーヤーのシャクシャクした歯切れよさと爽快な苦味、卵のふくよかな包容力が一挙に押し寄せて、新しいちゃんぷる~ワールドを発見するはず!二層の間にサンドした鰹節クンが、実にいい仕事をしてくれています。肉ナシだって物足りなさはまったくありません。クリアでシンプルな味だから、毎日だって飽きません。そして、弱火で焼くこのレシピなら、中華鍋や強火、勢いよく鍋を返す“腕”もまったく必要ありません。
ハイサイ♪ ハイタイ♪ 思わず踊り出したくなっちゃうような、いいことずくめの幸せレシピ、この夏ぜひお試しください。

ゴーヤーちゃんぷる~のつくり方

材料材料 (1~2人分)

ゴーヤー1/2本
豆腐1/2~1丁
2個
少々
鰹の削り節適宜
サラダ油適宜

1豆腐の水をきる

豆腐は、水きりしておく。漬物容器を使えば簡単だが、適当な重石をのせて水をきってもいい。水きり加減はお好みで。左が買ってきたままの豆腐、右が今回ちゃんぷる~用に水きりした豆腐。高さが4分の3ほどになった。

豆腐の水をきる
沖縄は全国1位の豆腐消費県。島豆腐は元来、海水の苦汁(にがり)で固め、がっちり詰まって重みがある。凝固剤を使うものでも、塩味はつけている場合が多い。水気が少ない島豆腐はそのまま炒め物に使えるが、普通の豆腐を使う場合は、水きりをして使おう。

2豆腐を切る

豆腐を食べやすい大きさに切り、さらに厚みを半分にする。写真のもので、厚さ1.5cm程度。四角く切ることで均等に火が入り、焦げ目もきれいにつく。

豆腐を切る

3ゴーヤーのワタを取る

ゴーヤーは幅5cm程度の筒切りにする。バターナイフの柄の部分を使って、ぐるりと一周回し、真ん中の白くふわふわしたワタと種を取る。くり抜くのが難しい場合は筒切りにしたものを縦に4等分して、ワタと種を切り落とす方法でも良い。

ゴーヤーのワタを取る
沖縄野菜の代表格。最近は九州産のものも多く出回り、また涼を求めて自宅栽培の「ゴー ヤーカーテン」にトライしている人もいるのでは?ゴーヤーの魅力はなんといっても爽や かな苦味。ビタミンCを多く含み、疲労回復、整腸、夏バテ防止に効果があるとされる。

4ゴーヤーを切る

幅1.5~2cm程度の短冊に切り、残った白い部分をギリギリまで切り落とす。これで、おいしい部分だけが残り、歯ざわりもシャッキリする。

ゴーヤーを切る

5豆腐を炒める

フライパンにサラダ油をやや多めにひき、豆腐を入れて、弱火で焼いていく。途中でひっくり返す。

豆腐を炒める

6塩を加える

軽く焦げ目がつくまで焼く。塩少々を両面にふる。焼く途中で水気が出てきたら、キッチンペーパーで拭き取ると香ばしく仕上がる。

塩を加える

7卵を溶く

ボウルに卵2個と塩0.5mlを入れ、箸で溶く。白身と黄身を使い分けるので、あまり混ぜすぎず、写真程度の混ぜ具合に。「にんじん食堂」では卵に入れる塩は、卵4個に対して1mL(約1g)と決めている。1mLの計量スプーンを使うが、卵の味が決まると味が安定するので、計れる人はレッツトライ。

卵を溶く
ちゃんぷる~や麸イリチー、ポーク卵など、沖縄の惣菜に使われることの多い卵。

8卵を加える

弱火のまま、豆腐の上から溶いた卵を半量ほど(どろっとした白身の部分を中心に)静かに 流し入れ、蓋をして火を通す。

卵を加える

9鰹節を振りかける

取り出して皿に盛り、鰹の削り節をかける。

鰹節を振りかける

10ゴーヤーを炒める

フライパンにサラダ油少々を入れ、ゴーヤーの外皮を上にして並べ、弱火で焼く。白い部分を取ったゴーヤーは、生でもおいしく食べられるので、ほんの少し焼くだけで大丈夫。

ゴーヤーを炒める

11仕上げ

残りの卵(黄身の多い部分)を流し入れ、蓋をして火を通し、9の上にのせる。卵の焼き加減はお好みで。全体をざっくり混ぜてもいい。

仕上げ
完成

店舗情報店舗情報

にんじん食堂うずまさ
  • 【住所】京都府京都市右京区太秦多藪町9
  • 【電話番号】075-864-2690
  • 【営業時間】12:00~14:30、18:00~22:00 完全予約制
  • 【定休日】水曜 木曜
  • 【アクセス】JR「太秦駅」より8分、嵐電「帷子ノ辻駅」より7分、バス停「太秦開町」より1分

教える人

内田真美 料理研究家

実方藤男、大道寺ちはる 「にんじん食堂うずまさ」料理人

京都・太秦で沖縄料理店を営む実方(じつかた)藤男さんと大道寺ちはるさん。
21年前に沖縄・壺屋で店を始める以前は、実方さんは執筆業、大道寺さんは校正業とまったく違う畑からの転身。根っからの料理人ではないからこそ、文献を徹底的に調べ、緻密に試作を重ねて、数々の沖縄伝統料理を復活させてきた。

写真:東谷幸一 文:里見美香

※この記事の内容はdancyu2015年9月号に掲載したものです。