焼酎に合う料理といえば昔からこっくり甘い味つけが定番だが、真夏のアテにはちと重い……。そこでとろける甘さはそのままに、バシッとスパイスを効かせてみました!
一見、ごく普通の肉団子と思いきや、口に運ぶと、頭で想像していたイメージをはるかに超えて、いろんな味が飛び出してきた。まず、しっかりとした甘さ。さらに、クミンや花椒といったスパイスの複雑な香り。なんだなんだ、どうなってるの?
「私の料理はお弁当のおかずが基本。ご飯に合うよう、しっかり甘辛味なんです。だから、お酒、特に焼酎にも合うんじゃないかと思って」と話すのは、お弁当とケータリングの「チオベン」を営む山本千織さん。アートのようなスタイリングに斬新な食材と味の組み合わせで大人気の、新感覚仕出し屋さんである。
果たして、「チオベン」の世界観に焼酎はマッチするのか? 20年来の焼酎フリークの私に、いささか不安がよぎったのも束の間、芋焼酎のお湯割りをぐびっと飲んで、納得した。肉団子の甘さをスッと流しつつ、ほっこりとした芋の香りとスパイスが絶妙に溶け合う。これ、いい!
★ 肉団子 | |
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牛豚合挽き肉 | 500g |
玉ねぎ | 1/4個(すりおろし) |
溶き卵 | 1/2個分 |
酒 | 大さじ1/2 |
醤油 | 大さじ1/2 |
片栗粉 | 小さじ1 |
★ 煮汁 | |
酒 | 300ml |
砂糖 | 1/2カップ(75g) |
クミンシード | 小さじ1 |
ビンダルーペースト | 小さじ1(スパイスに酢を混ぜた調味料。ない場合は省略可) |
シナモンスティック | 1本 |
コリアンダーシード | 小さじ2 |
花椒 | 小さじ2(ホール) |
醤油 | 50ml |
五香粉 | 小さじ1/2 |
水 | 700ml |
ボウルに肉団子の材料をすべて入れる。全体がしっかりと混ざるまで練ったら、ゴルフボール大に丸める。
大きめの鍋に、たっぷりの水(分量外)を入れて中火にかけ、①を入れる。まだぬるい状態で入れても大丈夫。肉団子全体に火が通り浮いてきたら、出てきたアクごと湯を捨てる。
②の鍋に分量の水を入れ、醤油と五香粉以外の煮汁の材料を加えて火にかける。強めの火加減で水分をとばすようにして、しばらく煮る。
煮汁が半分くらいまで減ったら、醤油と五香粉を入れ、水分がなくなるまで煮詰める。ホールスパイスは量が多いので、外して盛りつける。
北海道生まれ。札幌の料理店に20年以上関わった後、上京。2011年から「chioben(チオベン)」を開始。斬新な素材の組み合わせと、現代アートのような美しいスタイリングでファン多数。
文:鹿野真砂美 写真:木村拓
※この記事の内容はdancyu2016年9月号に掲載したものです。