暑い日が続くと爽やかな気分にしてくれる食べ物が食べたくなりますよね。一年中気温の高いベトナムでは、暑さに打ち勝つ料理が数多くあります。その一つが野菜とハーブを沢山使った生春巻き。香り高い爽快な味わいを楽しんでください。
生春巻きはライスペーパーで巻かれたもの?いえいえ、本場ベトナムでは、野菜で巻いた生春巻きも定番。パクチーやミントのほかに、オリエンタルバジル、タデ、どくだみの一種のようなハーブが入るので、パクチーはその中の一つ、くらいの存在。でもやっぱり、なくてはならないハーブなのです。
つくってから冷蔵庫で少し冷やすと、しゃきっとしたおいしさになります。ベトナムでは、ふわふわしたスプラウトのようなやさしい味わいのパクチーが好まれます。
日本では、一般的に春か秋に種蒔きをします。芽吹いてすぐはスプラウト状ですが、その後生育するときの気候によって形状が変化。寒い時期に成長すると、地面に沿って放射状に広がっていき、温暖な時期に成長すると、天に向かって伸びていきます。南国のイメージが強いですが、実は冬場にもガッシリとよく育ち、味も濃厚で美味です。
買ってきたパクチーに元気がないときは、全体が完全に浸るようにして、冷水につけましょう。10分もするとしゃきっとしてきます。ただし、浸しすぎても逆効果。日持ちが悪くなってしまいます。パクチーは意外と繊細なのです。
サンチュ | 12枚 |
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ビーフン | 30g(米粉の細麺) |
海老 | 6尾(殻付きのブラックタイガーなど) |
塩豚 | 約120g(細切り) |
きゅうり | 1本 |
青じその葉 | 12枚(大判なら、6枚を縦半分に切って使用) |
万能ねぎ | 12本 |
パクチー | 好みの量 |
スペアミント | 適量 |
★ ベトナム風甘酢だれ | (ヌクチャム) |
・ ナムプラー | 大さじ2 |
・ グラニュー糖 | 大さじ2 |
・ レモン汁 | 大さじ2 |
・ 水 | 大さじ2 |
・ 赤唐辛子の小口切り | 1本分 |
・ にんにく | 1片(つぶす) |
豚もも肉またはロース肉の塊300~350gを厚手のポリ袋に入れ、粗塩30~35g(豚肉の重量の10%)をよくすり込み、ポリ袋の口を閉じて冷蔵庫に一晩以上置く。(このまま3~4日保存することも可能)。肉を取り出し、表面の塩をさっと洗って鍋に入れ、かぶるくらいの水を加えて煮立たせ、ごく弱火にして40分ほど煮る。そのまま冷ますとしっとり仕上がる。
・水で戻したビーフンは2分ほどゆでて流水にさらし、ザルに上げて水気をきる。キッチンばさみで適当な長さに切る。
・海老は殻付きのまま塩ゆでし、粗熱が取れてから殻をむき、半分にそぐ。このとき背ワタをきれいに取り除き、上から塩少々(分量外)をふって下味をつけておく。
・きゅうりは斜めに薄くスライスして、やや細めのせん切りにする。
・万能ねぎは切らずに長いまま、さっとゆでておく。
・パクチーとミントは、葉の柔らかい部分を摘み取っておく。
サンチュの葉を裏返して台に置き、葉脈の硬い部分をしっかりつぶす。巻いたときに葉が折れたり、破れたりしにくくなるので、このひと手間が重要。手前に青じそ、ビーフン、きゅうり、塩豚、海老を置き、パクチーとミントを適量のせたら、くるくると巻いていく。具の分量は太さを見ながら適宜調節する(欲張って入れると、巻きにくくなる)。
万能ねぎを中央に2~3重に巻きつけ、縛って結ぶ。具が広がらないようにきっちりと巻く。たれの材料をよく混ぜ合わせ、たっぷりつけながらいただく。
都内の自宅と、神奈川県伊勢原市の菜園を行き来しながら野菜をつくり始めて10年。栽培する品種は年々進化している。合間を縫うようにして食文化研究の旅にも忙しい。
文:植松良枝 写真:邑口京一郎
※この記事の内容はdancyu2013年7月号に掲載したものです。