パンにのせても、パスタと合わせても美味しい基本のボロネーゼ。挽き肉にはクセがあるので、胡椒をたっぷり使います。「胡椒は、魔物です。間違った使い方をすると、とんでもないことになる」と、その料理哲学に信奉者の多い谷昇シェフは語る。胡椒の特質を知ってこそ、使う意味あり。谷シェフ、胡椒との付き合い方を教えてください!
牛挽き肉 | 1kg |
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A | |
・ 玉ねぎ | 100g |
・ にんじん | 100g |
・ セロリ | 50g |
・ にんにく | 2片 |
牛乳 | 250ml |
赤ワイン | 500ml |
トマト水煮 | 1缶(400g) |
塩 | 6g |
黒胡椒 | 3~5g(粗挽き) |
Aはすべてみじん切りにする。
フライパンに挽き肉を入れ、中火にかける。大きめのスプーンの背などを使い、押しつけて肉の塊をつぶすようにしながらポロポロになるまで焼く。肉から水分が出て、濃い焼き色がつくまで15分ほど炒めたら、塩を加えて混ぜる。
肉を取り出し、フライパンに残った余分な脂はザルで漉す。
漉した脂少々をフライパンに戻し入れ、1の野菜を炒める。香りが立ったら挽き肉を戻し入れる。
牛乳を加えて強火にし、混ぜながら炒める。水分がなくなり、音がパチパチしてきたら、赤ワインを加える。水分がなくなるまで煮詰めたら鍋に移し、トマトの水煮をつぶしながら加えて強火にかける。沸騰したら強めの弱火にし、時々木ベラで鍋底を混ぜながら、1時間ほど煮る。
黒胡椒を加え、時々木ベラで混ぜながら1~2時間煮る。鍋底を木ベラでかいて、水分が出てこなくなったら出来上がり。肉を指で押してみて、すっとつぶれればOK。
本来、胡椒は香りを楽しむ香辛料だが、挽き肉料理の場合は別。挽き肉独特のクセや臭みを抑えるために胡椒をたっぷり加える。「大事なのは加えるタイミング。時間ほどしっかり煮込んだところへ粗挽きの胡椒を投入します。入れた瞬間は胡椒の香りや辛味が強く感じられますが、さらに煮込んでいくと、香りがとび、わずかな辛味だけが残ります」。投入前に味をみておくと、出来上がったときに挽き肉のクセがやわらいでいるのが、よくわかる。
1952年東京生まれ。都内のレストラン勤務、二度の渡仏などを経て、1994年に「ル・マンジュ・トゥー」を開店。現在オーナーシェフとして日々、厨房に立つ。お気に入りの胡椒挽きはプジョー製。「ツール・ド・フランスのファンだからね(笑)」。
文:佐々木香織 写真:鈴木泰介
※この記事の内容はdancyu2017年9月号に掲載したものです。