スープをじっくりつくる、手軽につくる
500円でつくる「ブイヤベース」。

500円でつくる「ブイヤベース」。

簡単ブイヤベースに使う具材は、鯛のアラとあさりのみ。トマトジュースと水で煮出せば、立派な魚介スープのでき上がりです。魚売り場でアラを見かけたら、ぜひお試しあれ!

潮汁のやり方で、クリアな味のブイヤベースに。

昨日は魚介をたっぷり入れた、ゴージャスなブイヤベースを紹介しました。実はここだけの話、材料費はかなりかかっています。伊勢海老やホウボウなど、高級魚を使ったせいもありますが、特別な日のご馳走スープという感じです。
お金をかけておいしいものが食べられるのは当たり前。そこで今回は、低予算でブイヤベースをつくってみたいと思います。全部の材料費を合わせても、ふたり分で1000円に達しません。上手に買い物ができれば、500円でブイヤベースを楽しめます。

有賀薫さん
「ブイヤベースに高級食材を使わなければいけないルールはありません!」と語るスープ作家の有賀薫さん。

手に入れたいのは、魚の「アラ」。
スーパーやデパートの鮮魚コーナーに行くと、ケースの一番隅の方に、パックに入ってこっそり置かれています。別に恥ずかしいものではありません。
アラは魚の頭や中骨、尾など、切り身の残りですが、最もダシの出る部位でもあります。スープをつくるときには、積極的に使いましょう。私の家の近所では200円から300円が相場ですが、ときに50円などという値段の掘り出し物を見つけることもあります。

魚のアラ
魚のアラには、目の下や頬、胸の部分など身もたくさんついています。

鯛、鰤、鮭などのアラを売り場で見かけると思いますが、ブイヤベースには、白身の鯛が最も適しています。
さらに、旨味の良く出るあさりを組み合わせれば、素晴らしい魚介のダシが出たスープができるというわけです。

具材
具材は鯛のアラとあさりのみのミニマルレシピです。

アラを使うときに大事なのは、丁寧な下ごしらえ。まずは粗塩をふって、10~15分ほど置き、水分を出します。それから熱湯をかけて、流水で血合いなどをきれいに洗い流します。
これは、和食で魚を下ごしらえするときの方法。魚のクサみが消えて、本格的なブイヤベースのように香味野菜などをあれこれ入れずとも、雑味のないダシがとれるのです。

魚
ひと手間をかけるだけで、鯛のクサみは抑えられます。

この下ごしらえさえ面倒がらずにやってしまえば、あとはもう野菜を刻んだり炒めたりすることもありません。トマトジュースと水で静かに煮出すだけ。マヨネーズとにんにくを合わせた簡単アイヨリソースを添えれば、味わいはしっかりブイヤベースです。
ルーツからして、ブイヤベースは、店で料理に使わない魚を使った料理。簡単レシピのほうが、スピリッツとしてはより本家に近いかもしれませんね。

鯛のアラでつくるブイヤベースのつくり方

材料材料 (2人分)

鯛のアラ1尾分
あさり200g
イタリアンパセリ2本
トマトジュース200ml(無塩)
600ml
小さじ1
★ アイヨリソース
・ マヨネーズ大さじ2
・ にんにくすりおろし小さじ1
材料

1下準備

あさりは水300mlに対して塩小さじ1と1/2ほど(分量外)を混ぜた塩水につけ、砂抜きをしておく。2時間ほどたったら水を切ってよく洗う。

下準備
砂抜きするときは底の広いバットのようなものに、あさりの頭が少し出るぐらいの水位につけておきます。暗がりに置いておくと、あさりが砂を吐き出しやすいです。

2鯛の下処理をする

鯛のアラに塩(分量外)をまぶして15分おく。ザルにのせて熱湯を回しかけ、全体が白っぽくなったら、流水で血合いやウロコをていねいに洗い流す。キッチンペーパーなどで水気を取る。

鯛の下処理をする
アラの両面にうすく塩をまぶしておくと、クサみのもとになる余分な水分が抜けます。
鯛の下処理をする
熱湯を回しかけると鱗なども取りやすくなります。
鯛の下処理をする
流水の勢いが強すぎるとアラの身をくずしてしまうので、やさしく手洗いします。

3アラを煮る

鍋に2と皮を剥いたにんにくを入れ、トマトジュースと水を注いで強火にかける。沸騰したらアクを取り除き、弱火に落として10分ほど煮る。
砂抜きしたあさりを加え、あさりの口が開いたら火を止める。塩で味を整える。

魚を加えて煮る
魚のアラが水分につかるように底の広い鍋で煮ましょう。

4アイヨリソースをつくる

3を煮ている間にマヨネーズとにんにくを混ぜてアイヨリソースをつくる。煮終えたらスープを盛り付け、アイヨリを添えてでき上がり。

アイヨリソースをつくる
にんにくの塊がないように混ぜ合わせます。
アイヨリソースをつくる
具材はシンプルですが、鯛とあさりの身で食べ応えのある仕上がりです。
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2018年09月28日発売 / 1,404円(税込)

文:有賀薫 写真:キッチンミノル

有賀 薫

有賀 薫 (スープ作家)

1964年、東京都生まれ。ライター業のかたわら、家族の朝食にスープをつくり始める。2011年より始めた朝のスープづくりは、約3000日にわたって続けている。2018年には『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)が第5回料理本大賞入賞。スープの実験イベント"スープ・ラボ"はじめ、スープをテーマにしたイベントを多数主催。著書に『365日のめざましスープ』(SBクリエイティブ)、『スープ・レッスン』(プレジデント社)がある。