旬の野菜の知恵袋。
セリを根まで愉しむ大根と豚肉の煮物。

セリを根まで愉しむ大根と豚肉の煮物。

料理研究家の植松良枝さんが披露する旬のセリを使ったレシピの4品目は、大根と豚肉の煮物。和食の定番料理と侮るべからず。旬を迎えたセリを根ごと加えれば、馴染みのある味わいがグレードアップ!

初春はセリを食べ尽くしましょう。

春の七草として知られているセリ。
露地物は晩冬~春が旬ですが、水耕栽培のものは真夏を除いてほぼ一年中つくられています。
4~6月に出荷するものは「葉セリ」、9~3月に出荷されるものは「根セリ」と呼ばれていて、寒い時季になると名前通りの立派な根がついたセリをよく見かけます。

セリ
セリの根は細いゴボウのようなポリポリとした食感です。生でも食べられますよ。

葉セリはシャキシャキとした食感の繊細な茎が特徴です。サラダや和え麺に生で混ぜて食したいですね。一方、根セリは茎が太くなり、香りはより野生味を帯びてきます。
ほかの野菜では捨てることが多い根も、セリのものはかじると爽やかな香りがして煮物などに入れると、個性派の名脇役になります。
煮る場合は炒めるときと同じく、あまり火を通しすぎず、さっとなじませて半生で食して良いくらいです。キュッキュと小気味良い食感が愉しめます。根の部分はダシが出るので、葉や茎より2分ほど先に煮るのがおすすめです。

セリと大根と豚肉の煮物
根からは肉のアクやくさみを抑える爽やかなダシが出ます。

今回は家庭の献立でも取り入れやすい煮物で、セリの魅力を引き出してみましょう。
煮てもなお残る淡泊ながら個性的な風味は、和風の甘辛い煮物と合わせると相性が抜群。
きりたんぽ鍋や鴨鍋にセリが欠かせないのがよくわかります。
セリの根まで余すとこなく食べつくせる煮物で、一度ぜひ味わってみてください。
野菜売り場で、セリの前を素通りできなくなるはずです。

料理研究家の植松良枝さん
「セリは捨てるところのない野菜です」と料理研究家の植松良枝さん。

セリと大根と豚肉の煮物のつくり方

材料材料 (4人分)

セリ150〜200g
大根1/2本
豚肉200g
醤油60ml
味醂60ml
材料

1大根を切る

大根は2.5cmの厚さに輪切りしてから皮を剥いて、四等分に切る。豚肉は2cm角の大きさに切る。

大根を切る
大根は皮の付近が筋っぽい食感なので厚めに剥きましょう。
大根を切る
食べやすい大きさに切ります。

2具材を下ゆでする

大きめの鍋に大根と豚肉を入れて、具材がすべて浸るぐらいの水を注いで強火にかける。煮立ったら中火で2分ほどゆでてザルにあげる。

具材を下ゆでする
具材のアクを取り除くための大切な下ごしらえです。
具材を下ゆでする
水だけでゆでておくことで仕上がりの味わいに雑味がなくなります。

3煮付ける

鍋を洗って、大根と豚肉を戻し入れ、具材がひたるぐらいの水と醤油、味醂を加えて強火にかける。煮立ってきたらアクを取って弱火に変え、落し蓋をして20分ほど煮る。

煮付ける
味付けはシンプルに醤油と味醂だけです。
煮付ける
オーブンシートの上から落とし蓋をすれば、より具材に味が染み込みやすくなります。

4セリを加える

セリは根と茎と葉の部分に切り分ける。根を先に鍋に入れて2分ほど煮たら、茎と葉を入れてひと煮立ちさせて火を止める。

セリを加える
茎は8cmほどの長さに切ります。
セリを加える
茎と葉を入れ、煮汁を含ませるように混ぜ合わせます。
完成
茶一色になりがちな煮物に緑が加わると鮮やかです。

文:植松良枝 写真:宮濱祐美子

植松 良枝

植松 良枝 (料理研究家)

四季に寄り添った食と暮らしを提案する料理研究家。菜園での野菜づくりがライフワーク。春夏秋冬それぞれの季節が極まり、次の季節の準備期間である「土用」を暦の中でも特に大切にしている。一児の母となり、忙しい日々の中で家族への想いも増してさらに深く土用を考えるようになった。