旬の野菜の知恵袋。
セリの香りとあさりの旨味でリゾットをつくる。

セリの香りとあさりの旨味でリゾットをつくる。

2020年は桜の開花も例年より早くなりそう。春の到来ももうすぐです。日々の食卓においても、旬を迎えるセリとあさりの香りをたっぷり含んだリゾットで春を迎える準備を始めませんか。

セリは水辺や半日陰でよく育ちます。

野菜売り場に並んでいるセリは水耕栽培されたものが多いですが、もともとは”春の七草”のひとつ。
一箇所から競り合うように生えることからセリと呼ばるようになったと言われています。3月中旬ごろになれば水辺や小川のあちこちで自生しているセリを摘むことができます(同じような場所にドクゼリも生えているので、見分ける注意が必要)。

芹
実はパクチーやにんじんもセリの仲間。なるほど葉っぱの形状が似ています。

数ある“春の摘み草”の中でも香りがひときわ強く、セリは根までおいしく食べれる個性は群を抜いています。
家庭菜園で種を蒔いて育てるというよりは、散歩中に小川のあぜ道や日陰道で見つけることが多く、半日陰のやや湿り気のある土壌でよく育つので、野菜よりも山野草という位置づけのほうがしっくりくるかもしれません。
さっとゆがいたセリを細かく刻んで炊き立てのごはんに混ぜ込むと、野生味のある芳潤な香りが立ち上ります。白米との相性は言わずもがな抜群です。

芹
セリは生で食べても香り高く瑞々しいので、料理の仕上げに刻んだものを振りかけるだけでも魅力を発揮します。

セリと同じく春に旬を迎えて、身がぷっくりしたあさりと組み合わせてみましょう。セリの香りとあさりの旨味を米に存分に吸わせてリゾットをつくります。
バターとオリーブオイルで味わいをまとめるので、味付けは塩のみです。アルデンテに炊いた米の転がるような口当たりと、セリとあさりの味わいがじわ~っと広がる春らしい料理です。

芹
リラックス成分が含まれるセリと、亜鉛ビタミンが豊富なあさりを合わせているので栄養たっぷりなリゾットです。

セリとあさりのリゾットのつくり方

材料材料 (2人分)

セリ150g
あさり300g
120g
にんにく1片
バター15g
白ワイン大さじ3
450ml
オリーブオイル大さじ1
小さじ1
材料

下準備あさりを砂抜きする

砂抜きされていないあさりを使うときは、バットに広げてひたるぐらいの3%濃度の塩水を張る。冷蔵庫の中でひと晩おく。セリを2cm幅に刻んでおく。

芹
リゾットに混ぜ込んで食べやすい大きさに切りましょう。

1あさりを蒸し煮する

オリーブオイルを中火で熱した鍋ににんにくを入れ、色づいてきたらあさりを入れる。白ワインと水100mlを加えてから、蓋をして強火にする。3分ほど蒸し煮する。

あさりを蒸し煮する
にんにくが色付いてきたら、あさりを加えましょう。
あさりを蒸し煮する
白ワインと水を入れたら蓋をして熱を逃さないようにします。

2あさりを取り出して米を加える

あさりの口がすべて開いたら、火を止めて穴あきお玉などでボウルに取り出す。煮汁に米とオリーブオイル、残りの水350mlを加えて中火にかけ、ひと煮立ちしたら一度混ぜ合わせて13〜15分煮る。

あさりを取り出して米を加える
あさりの旨味が出た煮汁は鍋に残しておきます。
あさりを取り出して米を加える
生米を入れて煮汁で炊き上げます。

3セリとバターを加える

米が好みのかたさになったら、セリとバターを加えてひと混ぜする。あさりを戻し入れ、混ぜ合わせて塩で味を整えたらでき上がり。

芹とバターを加える
バターのコクで具材の味わいをまとめます。
芹とバターを加える
取り置いていたあさりを鍋へと戻します。
芹とバターを加える
貝殻が割れないように混ぜ合わせましょう。
芹とバターを加える
お好みでオリーブオイルやチーズをかけると良いでしょう。

文:植松良枝 写真:宮濱祐美子

植松 良枝

植松 良枝 (料理研究家)

四季に寄り添った食と暮らしを提案する料理研究家。菜園での野菜づくりがライフワーク。春夏秋冬それぞれの季節が極まり、次の季節の準備期間である「土用」を暦の中でも特に大切にしている。一児の母となり、忙しい日々の中で家族への想いも増してさらに深く土用を考えるようになった。