旬の野菜の知恵袋。
セリのジョンで旬の香りと食感を愉しむ。

セリのジョンで旬の香りと食感を愉しむ。

3月が近づくと、あっという間に春を感じる陽気。冬の寒さを超えた野菜が旬を迎える準備を始めます。初春になると魅力を発揮するセリを手に取り、野菜料理の引き出しを増やしましょう。小麦粉と卵をまぶして、こんがりと焼く韓国料理のジョンをつくります。

セリの活用法を知っていますか?

2月の下旬になると、スーパーの野菜売り場にセリが並び始めます。旬の時季になると根まで生のまま食べられるほど香りは爽やかで、捨てるところのない魅力的な野菜です。しかし、全国的にはきりたんぽ鍋の食材という印象が強いのではないでしょうか。
特徴を知れば和風、洋風、中華、幅広く活用できるようになるので、見かけたらぜひ手にとってみてください。

芹
セリは夏に花をつける野菜で、春先に柔らかい芽をグングン伸ばします。

野菜売り場で買うときは葉の色が濃く、瑞々しく溶けていない太い茎のものを選ぶと、野生味のある香りを存分に愉しめます。
買ってきたら根元を切り落とし、葉と茎の部分をさっと洗って水気を切っておけばOKです。根についた細かい泥は、細かいブラシ(粗品の歯ブラシなど)で洗うときれいさっぱりします。

芹の根
セリの根はとても香り高い食材です。きれいに泥を取り除いて調理しましょう。
芹の根
根は小麦粉を軽くまぶしてサッと揚げれば、立派なおつまみになります。

セリは水分が多く葉が柔らかで繊細です。蒸れやすく、日持ちがしません。
香りや風味、食感も日を追うごとにどんどん失われていきます。
保存のことは考えず、使いたいと思う日かその前日に買い、すぐに使い切ったほうがよい野菜です。

芹
葉、茎、根で食感が変わります。それぞれの魅力を引き出す調理法を覚えておきましょう。

和食の印象が強い野菜かもしれませんが、セリは韓国料理でも活躍しています。キムチやナムルに使われることも多く、ピリッとした辛味や酸味とよく合います。
旬を迎えたセリは、柔らかい中にもシャキッとした食感が残る茎と、鼻に抜ける爽やかな香りが特徴です。それらを活かして、生地を纏わせて焼き上げるジョンをつくりましょう。具材はセリだけで、食べ応えたっぷりです。
香ばしい胡麻油の香りと旬の味わいが合わさり、緑が美しい早春の一品ができ上がります。
唐辛子とナンプラーでつくるタレにつけてめし上がってください。

芹
ジョンはチヂミよりも生地が少なくつくるので、セリの野生味ある魅力をメインに味わえます。

セリの甘酸っぱいジョンのつくり方

材料材料 (2~3人分)

セリ120g
2個
薄力粉大さじ5
胡麻油大さじ2
赤唐辛子1個
A
・ ナンプラー大さじ1
・ レモン汁大さじ1
・ 水大さじ1
・ きび砂糖小さじ1
材料

下準備タレをつくる

唐辛子をきざみ、Aの調味料と混ぜ合わせる。

唐辛子
唐辛子の種ごときざみましょう。
きび砂糖
コクとミネラル分が多いきび砂糖で、タレの味わいをまとめます。

1小麦粉をまぶす

セリを半分に切り、上下互い違いにして厚みにばらつきがないようバットに広げる。小麦粉をまぶしつける。

小麦粉をまぶす
セリを広げるときすべて同じ方向だと、厚みがばらつき焼き上がりにムラができてしまいます。
小麦粉をまぶす
小麦粉を振りかけ、擦り付けるようにしてまぶします。

2卵をまとわせる

溶きほぐした卵を、1に纏わせる。

卵をまとわせる
全体に卵が行き渡るようにかけましょう。
卵をまとわせる
小麦粉と同様に擦り付けるようにして纏わせます。

3焼く

胡麻油を中火で熱したフライパンに2を広げる。バットに残った卵液をまわしかけて、ヘラで押さえながら両面を香ばしく焼く。食べやすい大きさに切り分け、皿に並べたらでき上がり。

焼く
セリをフライパンに広げたら、バットに残った卵液を集めてかけます。
焼く
ヘラで押さえつけてしっかりと焼き目をつけてください。
焼く
セリの繊維をザクッと断ち切るように切りましょう。
完成
断面が見えるように重ねて盛り付けると立体的に見えます。

文:植松良枝 写真:宮濱祐美子

植松 良枝

植松 良枝 (料理研究家)

四季に寄り添った食と暮らしを提案する料理研究家。菜園での野菜づくりがライフワーク。春夏秋冬それぞれの季節が極まり、次の季節の準備期間である「土用」を暦の中でも特に大切にしている。一児の母となり、忙しい日々の中で家族への想いも増してさらに深く土用を考えるようになった。