菜の花は旬の時季になると、黄色い花を咲かせるために多くの栄養素を蓄えます。
カルシウム、鉄分、葉酸、ビタミン、βカロテン、マグネシウム、など数えだすとキリがないほど。風邪が蔓延しやすい冬には、意識的に口にしたいものです。
せっかく栄養価の高い食材でも熱の入れ方や水に浸ける時間で、含まれている成分は溶け出してしまったり、簡単に壊れてしまいます。
その点、和食の調理法は実によくできています。野菜の香りや味わいを損なわないよう配慮しているだけでなく、食材の栄養素を無駄にしない知恵が詰まっているのです。
今回は和食の調理法で下ごしらえした菜の花と、ちりめんじゃこの風味をまとった混ぜ込みごはんをつくってみましょう。
菜の花の混ぜ込みごはんには、まず「菜の花の辛子和え」が必要です。
そのためには、和食の調理法「陸(おか)あげ」と「醤油洗い」をマスターしましょう。
陸あげとは、ゆでた野菜をざるに広げて自然に冷ますこと。水にとって冷ました野菜は水っぽく、味わいがうすく感じられます。日持ちはしますが、香りや個性が弱まるので菜の花の苦味を大切にしたいのであれば陸上げをおすすめします。
野菜の熱がとれたら、次は醤油洗いです。
ゆでた野菜に醤油を回しかけてもみ込むことで、水分を抜きながら下味をつけます。ギュッと搾ってから、辛子を和えることで野菜によく染み込み、香り高くめりはりのある味わいに仕上がります。
醤油洗いをした野菜の和え物は時間が経っても味が変わりづらいので、弁当の惣菜をつくるときに試してみるとよいかもしれません。
でき上がった辛子和えをほかほかの炊きたてごはんに混ぜ込み、菜の花と辛子の爽やかな香りが湯気と共に上がってくる瞬間は、食欲が湧き立つ至福のひとときです。
さっくりと混ぜ合わせながら茶碗によそって、温かいうちにめし上がってください。旬の菜の花の魅力を存分に感じることができるはずです。
菜の花 | 200g |
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米 | 2合 |
ちりめんじゃこ | 40g |
昆布 | 1枚(5cm四方) |
卵 | 2個 |
酒 | 大さじ1 |
醤油 | 大さじ3 |
塩 | 適量 |
練り辛子 | 小さじ2 |
米を研ぎ、2合分の水、酒、昆布を加えて炊く。
炊きあがる5~10分前にちりめんじゃこを加えて炊き上げる。
菜の花は大きな葉が付いていれば、外して茎と別にしておく。
鍋にたっぷりの湯を沸かし、茎は40秒ほど、葉は10秒ほどゆでてざるに広げて粗熱をとる。
2cmの長さに切ってからボウルに入れて、醤油を回しかけて揉み込む。菜の花から水気が出てきたら搾ってほぐしておく。搾り汁を小さじ2ほど取り置き、練り辛子をよく溶かしてから菜の花と和える。
別のボウルに卵を溶きほぐして酒小さじ1/2と塩少々を加える。
油を弱火で熱したフライパンに卵を加え、箸4本で混ぜながら細かい炒り卵をつくる。
炊き上がったごはんをほぐしたところに、2と3を加え混ぜ合わせたら器によそう。
文:植松良枝 写真:宮濱祐美子