旬の野菜の知恵袋。
菜の花をくたくたに煮たオレキエッテ。

菜の花をくたくたに煮たオレキエッテ。

菜の花のような苦味のある野菜は、オイルとの相性が抜群。洋風料理に使ってみると、新しい発見があります。くたくたに煮た菜の花のソースでつくるオレキエッテをつくってみましょう。

くたくたに煮た菜の花の魅力。

菜の花といえば、和食に使われるイメージが強い野菜かもしれません。菜の花の辛子和えやお浸しが代表的ですね。黄色い花が蕾(つぼみ)の中からチラホラと見える菜の花は「春告げ菜」と呼ばれ、春の懐石料理によくあしらわれます。

菜の花の旬は、2月頃から4月まで続きます。

菜の花は西洋野菜のような強い苦味とえぐみがあるので、和食で使うようにしゃきしゃきとした食感をのこしてゆで上げるだけでなく、洋風料理にも使ってみてほしい野菜。ヘラで簡単につぶせるくらいくたくたに煮た菜の花の香りや、じっくりと焼いて引き出した甘味にも、ぜひ気づいてほしいのです。

緑の野菜はゆでることで発色がよくなり、見た目が鮮やかになります。

南イタリアのプーリア州で栽培されているチーマディラーパは、見た目も味も菜の花にそっくりの野菜です。「かぶの先っぽ」という意味の名前で、南イタリアの食卓に欠かせません。
プーリアの旅に出かけたときは、チーマディラーパがテーブルいっぱいに広げて売られていたり、民家の軒先に手打ちのオレキエッテが干されていたりという光景をよく目にしました。現地でチーマディラーパをくたくたに煮たオレキエッテを食べたときの驚きは、今でも忘れられません。爽やかな苦味と、コクのある甘味が、なんと鮮烈だったことか。

柔らかくなった菜の花は、にんにくやアンチョビと合わせるだけでパスタソースになります。

くたくたに煮てしまえば、繊維は柔らかくなり、えぐみが穏やかになるので、菜の花にぴったりな調理法。
とろっとした菜の花のパスタソースが、オレキエッテの耳に入り込み、野菜の旨味を余すことなく堪能できるレシピです。

菜の花をくたくたに煮たオレキエッテのつくり方

材料材料 (2人分)

菜の花150g
オレキエッテ120g
にんにく1片
アンチョビ4枚
赤唐辛子1本
パン粉大さじ2(ローストしたもの)
オリーブオイル適量
適量
材料

1ゆでる

菜の花を2cmほどの長さに切る。
鍋にたっぷりの水とその1%の量の塩を入れて沸かす。
菜の花とオレキエッテを同じ鍋に入れ、菜の花は8分、オレキエッテは袋に表示されている時間ゆでる。パスタ同士がくっつかないように、ゆでている途中で全体を混ぜる。

たくさんの湯でゆでると、パスタが対流してくっつきにくくなります。
パスタと同じ鍋でゆででも、菜の花は上に浮かんできます。

2パスタソースをつくる

菜の花とパスタをゆでている時間を使って、皮を剥いてつぶしたにんにくと、オリーブオイルをフライパンに入れて弱火にかける。にんにくが茶色く色づいたらアンチョビと赤唐辛子を加えて、30秒ほど炒め合わせる。

アンチョビは焦げやすいので、炒めすぎないように気をつけましょう。

3ソースと合わせる

菜の花だけを穴杓子やざるで先に取り出して2に加え、木べらで菜の花の茎をつぶしながら混ぜ合わせる。
時間差でゆで上がったオレキエッテを加えて炒め合わせ、塩で味を整え、最後にパン粉を加えてひと混ぜして、器に盛る。

菜の花は、ゆで湯を少し含んでいるぐらいで大丈夫です。
菜の花を油に溶かすように木べらでつぶします。
オレキエッテにソースが絡むように、混ぜ合わせてください。
パン粉とオリーブオイルをかけて食べましょう。

――つづく。

文:植松良枝 写真:宮濱祐美子

植松 良枝

植松 良枝 (料理研究家)

四季に寄り添った食と暮らしを提案する料理研究家。菜園での野菜づくりがライフワーク。春夏秋冬それぞれの季節が極まり、次の季節の準備期間である「土用」を暦の中でも特に大切にしている。一児の母となり、忙しい日々の中で家族への想いも増してさらに深く土用を考えるようになった。