「ミネストローネ」は、じっくり野菜を炒めて旨味を引き出すスープです。野菜を同じ大きさに切る、弱火でじっくり炒める、具材を加えるタイミング、スープづくりの基本が詰まっています。ミネストローネを上手につくれるようになれば、料理の腕前が上達しますよ!
ミネストローネは、言わずと知れたイタリアのスープです。具がたっぷりで汁が少なめの「食べるスープ」は、イタリアスープの特徴。
ミネストローネといえばトマト、にんにく、オリーブオイルというイメージですが、イタリアでは必ずしもトマトが入るわけではないのです。むしろ、必須なのは豆やパスタ、米などの炭水化物です。これは一皿のスープでお腹を膨らませようとする、庶民の知恵でしょう。
ミネストローネは、郷土色の強い料理。白いんげんの入ったトスカーナ風、米を入れたミラノ風、バジルのソースをたらしたジェノバ風と、様々な地域の食材が入ったバリエーションがあります。ミネストローネはイタリアのおふくろの味であると同時に、郷土料理でもあるわけです。
今回はそうした背景をイメージしつつ、野菜と豆をたっぷり使ったクラシックなミネストローネをつくってみましょう。刻んだ野菜をオリーブオイルと塩でじっくり炒めると、野菜の旨味と甘味が凝縮します。ベーコンもブイヨンも使わずに、本当に野菜だけ?という深い味わいが生み出せますよ。
さて、つくり始める前にミネストローネを、具材ごとの役割と特性によって分解して考えてみたいと思います。
A 香味野菜(玉ねぎ、にんじん、セロリ、にんにく)
B 具の野菜(かぶ、かぶの葉、いんげん、マッシュルーム、じゃがいも、トマト)
C 豆、穀類(インゲン豆、パスタ)
D 油と調味料(塩、オリーブオイル)
「香味野菜」は、ある程度しっかりと炒めて、スープの旨味と香りのベースにします。この部分は、あまり替えがきかない野菜です。
「具の野菜」は、自由に遊べる部分。今回使う野菜のほかにも、きのこ、小松菜、ピーマン、ズッキーニ、かぼちゃなど、季節に合わせて様々な野菜を入れて大丈夫です。
「豆、穀類」は、どれかひとつでも入れると、食べ応えがグッと増します。豆は水煮してあるものを使うと手軽です。パスタはショートパスタが食べやすいでしょう。
「油と調味料」はオリーブオイルと塩。これだけで、食材の旨味を引き出せます。
鍋に野菜と塩をひとつまみ入れると、野菜の水分が出やすくなり、旨味が凝縮します。水分を補いながら、あまり色づけずに炒めていきます。
具の野菜は、煮えにくいものから1種類か2種類ずつ加えましょう。新しい野菜を入れるたびに、塩ひとつまみ、オリーブオイル少々を足すと焦げ付きません。トマトは水分が多いので、ほかの野菜を炒め終わってから、最後に加えます。
パスタや米は、食べる時間から逆算して入れると、ふやけませんよ(あのふやけた柔らかいパスタがおいしいのだ!という声もあるかもしれませんが)。
豆やパスタからも旨味が出ますので、野菜だけで十分においしいスープに仕上がるはずです。風味づけに少し粉チーズをふってもいいでしょう。
A | |
---|---|
玉ねぎ | 1/2個 |
にんじん | 1/2本 |
セロリの茎 | 1/3本 |
にんにく | 1片 |
B | |
かぶ | |
いんげん | 8本 |
マッシュルーム | 5個 |
じゃがいも | 1個 |
キャベツ | 1/6個~1/4個 |
トマト缶 | 1缶 |
C | |
白インゲン豆 | 200g(水煮) |
ファルファッレ | 40g |
D | |
オリーブオイル | 大さじ3 |
塩 | 小さじ1と1/2ぐらい |
玉ねぎ、にんじん、セロリ、かぶ、いんげん、マッシュルーム、じゃがいもはすべて1cm角に切る。キャベツ、かぶの葉など葉物は1.5cmぐらいの大きさに切る。にんにくは半割にして芽をとり、つぶしてみじん切りする。
オリーブオイルをひいた鍋を中火で熱し、玉ねぎを入れて塩ひとつまみを加えて炒める。水分が出てきたら、にんじん、セロリを入れ、塩をひとつまみ足してさらに炒める。野菜の水分が足りなくなって焦げ付きそうなら、大さじ1ほどの水を加えて蒸すように炒める。にんにく、マッシュルーム、いんげん、かぶ、かぶの葉、キャベツの葉の順に鍋に足しながら炒める。都度、ひとつまみずつ塩を加える。
缶詰入りのトマトを手で潰して入れ、鍋の7割ぐらいまで水を加えてから、じゃがいもを入れる。10分ほど煮たら白いんげん豆を加え、再び鍋の7割ぐらいまで水を足して、ファルファッレを加えて煮込む。パスタに火が通ったところで味を塩で調節してでき上がり!
文:有賀薫 写真:キッチンミノル