「とうもろこしは蒸しているだけではもったいない!」と、菜園で野菜を育てている料理研究家の植松良枝さんは声を上げます。旬を迎えたおいしい野菜を、定番以外の調理法でも楽しんでほしいと。焼きとうもろこしとナンプラーでつくる、こんがりおこげが香ばしい焼き飯はいかがですか。
とうもろこしは10cmほどの苗から3ヶ月で、人の背丈を超すほど大きく育ちます。それでも、ひとつの苗から収穫できるのはたったの1本!
大量に収穫できるわけではないのですが、小さな自家菜園で育てていると、その分、喜びも一入です。
旬の時季に収穫したとうもろこしは、青々とした皮の中に大きく膨らんだ実がぎっしりと詰まっていて、手で触れるだけで生命力が伝わってくるような力強さを感じます。
夏も真っ盛りになると、スーパーの野菜売り場には「朝採り」の表記と一緒にとうもろこしが山積みにされますね。安くておいしいものがたくさん出回るのも旬の魅力のひとつでしょう。
たくさんある中からひとつを選ぶときは、皮が青々としていて、ずっしりと重いものを選んでください。すぐに皮を剥いてしまうと、鮮度が急激に落ちてしまいます。保存するときは、皮ごとラップに包んで冷蔵庫で保存するのが鮮度を長持ちさせるコツです。
とうもろこしは、生食をすすめる品種もあるほど糖度が高い野菜です。蒸すだけでも甘さが際立ち、とてもおいしいですよね。とはいえ、旬を迎えたとうもろこしを蒸してばかりいても、もったいないものです。
とうもろこしの甘さは、蒸すだけではなく、焼くことでも違った表情を見せてくれます。
実が焦げるぐらいにしっかり焼き付けると、甘味と香りが引き立ちます。焼いて水分が抜けることで、味わいが凝縮し甘味や旨味が増すのです。
屋台で焼かれる焼きとうもろこしを想像してみてください。
刷毛で塗られた醤油の焦げた風味と、とうもろこしの爆ぜる音と甘い香り。食べる前からおいしさが保証されているような焼きとうもろこしのイメージを大切に、あえて焦がすことで完成する料理を紹介したいと思います。
今回は、おこげにしたごはんと合わせて香ばしさを最大限に楽しんでみましょう。
ごはんととうもろこしは、ナンプラーを加えて焦がします。上から青唐辛子を振りかければ、爽やかな辛味と魚の香ばしさが合わさり、軽やかなエスニック焼き飯に仕上がります。この料理は、とにかく「ほったらかして炒めない」ことと「じっくり焦がす」ことがポイントです。
とうもろこし | 2本 |
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とうもろこしのひげ根 | 2本分 |
米 | 2合 |
鶏もも肉 | 300g |
えのき | 200g |
生姜 | 10g |
青唐辛子 | 3本 |
A | |
・ サラダ油 | 小さじ1 |
・ 黒胡椒(粗挽き) | 小さじ1/2 |
・ ナンプラー | 大さじ1/2 |
サラダ油 | 小さじ2 |
ナンプラー | 適量 |
レモン汁 | 大さじ2 |
ボウルに1.5cm角に切った鶏肉とAの調味料を入れ、もみこんで20分以上置く。えのきは根元を切り落として2cmの長さに刻み、軸の部分は細くほぐす。生姜は皮を剥き、せん切りにする。青唐辛子は小口切りする。
とうもろこしを半分の長さに切り分け、包丁で実をすべてはずす。
ひげ根の茶色く変色した部分を除き、1cmほどの長さに刻む。洗った米を炊飯器に入れて2合の目盛りまで水(分量外)を加え、とうもろこしの芯を一本分と、ひげ根を散らして混ぜずに炊く。
サラダ油を熱したフライパンにとうもろこしの実を広げ、中火で3分加熱する。とうもろこしに茶色い焼き目がついたら、ナンプラー小さじ1と1/2を鍋肌から加えて炒め合わせ、皿などに取り出しておく。
3のフライパンに鶏肉の皮を下にして広げて、中火で3分ほど焼く。皮にしっかりと焼き色がついたら、木べらで炒めるように肉全体を加熱する。鶏肉がひと回り小さくなったら、えのきと生姜を加えて炒め合わせ、ナンプラー大さじ2とレモン汁を加えて汁気をとばす。
ごはんが炊き上がったら、とうもろこしの芯を取り除き、ほぐして3のフライパンの中に入れる。具材と混ぜ合わせたら、ごはん部分におこげができるまでそのまま動かさずに中火で4分ほど加熱する。
ごはんにおこげができたところで大皿に盛り、取り分けておいた焼きとうもろこしをかける。最後に青唐辛子を散らす。
――つづく。
文:植松良枝 写真:宮濱祐美子